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『真夜中の電話にはご注意を!』2

最新!防犯機器特集



オカルト探偵倶楽部表紙1 


『真夜中の電話にはご注意を!』
 
 
 
 
 

(なっ、何だ?)

洋平の背筋に冷たいものが走る。狭い部屋に一人というこの状況に、恐怖を感じた洋平は取り合えず人との接触を求めうため秀樹にもう一度連絡を取ろうとしたその時、手の中の携帯電話が再び音を鳴らした。一瞬身体をビクッとさせディスプレイを見ると、中山麻美という名が表示されている。それでも洋平は慎重な声で電話を受けた。

「はい。神崎です」

『もしもし私・・・。どうしたの暗い声を出して』

 麻美の声だ、麻美と洋平は俗に言う幼馴染に当たる。小さな頃からの腐れ縁だ。小、中、高、そして大学まで同じ学校に進学した。偶然なのか必然なのか?

「いや、何でもない、お前本当に麻美か?」

少し疑心暗鬼になっているようだ。

「何それ!」

麻美の呆れたような声。どうやら本物のようだ。少し気分も落ち着いたのか、声質も明るくなった。よく考えてみれば、洋平が落ち込んでいたり、困った事があった時には不思議と麻美から何らかの連絡が入り、他愛のない話で、気持ちが落ち着いてきて、落ち込んでいる自分を忘れていることが多い。

『洋ちゃん、白河さん知っているでしょ?』

 洋平の脳裏に嫌な予感が過ぎった、今日は白河という名前に何かしら因縁があるらしい。

「知っているけど、白河さんがどうかしたのか?」

 何事も無かったかの様に問い返す。

『今ね、美樹から連絡があったんだけど、白河さんが行方不明になっているらしくって、捜索届けが出されているらしいの。それでね、心当たりのありそうな人に連絡しているんだけど、洋ちゃんが・・・。』

 少し間を空けて、

『知っているわけ無いか』

 一人で話して結論を出してしまった。一人突っ込み一人惚けをしている。洋平は電話口で苦笑しながら。

「一体、何しに電話してきたんだよ。大体俺白河さんとあまり親しくないし、心当たりも何も無いことくらい判るだろう。俺と何年の腐れ縁だと思っているんだ」

『そうね。かれこれ二十年近くかな!』

 全く動じていない。

『そうか・・・。疎い洋ちゃんじゃ、気付かないよね』

 訳の解らない発言の後、“白河さんもかわいそうね。”というぼやきの様な声が聞こえた。

「はっ?」

全く理解出来ていない様だ、間の抜けた返事が帰ってきた。

『あのね。洋ちゃんは気が付いてないかもしれないけど、白河さん洋ちゃんの事が気に掛っているみたいなのよ。美樹に何かと相談していたみたい』

 “全く疎いんだから。”と小声で言うと。

『それにしても神様も酷なことをするわね。よりによって美樹に相談するように仕向けるなんて』

「何で?」

 再び間の抜けた返事。

『全く。やってられないわね。美樹も洋ちゃんの事意識しているのよ。あれだけ一緒にいて分からないの?』

「何が?」」

 電話越しでは分からないだろうが、やれやれという溜息と共に、

『洋ちゃんモテていいわね』

 少し棘のある言い方で言った。

「そんな事言ったって・・・」

 どう答えて良いか迷っていたが、麻美が言った事と今自分に起こっている状況を照らし合わせてみると、先程脳裏を過ぎったいやな予感が次第に大きくなっていくのを感じた。

「ところでさあ。麻美の意見を聞きたいんだけど」

 突然の話題転換に少しばかり戸惑ったようだが、

『何?改まって』

 洋平は先程起こった出来事を説明した。麻美は話の骨を折ることなく最後まで黙って聞いていた。

『何それ!ちょっと気味が悪いわね』

「そうだろ。だから白河さんが行方不明になったと聞いて、何か嫌な感じがしてさ」

「でさ、取り敢えず最初の電話で言っていたいつもよく良くカラオケ店に言ってみようと思ったんだけど、流石に一人だと怖いから秀樹に一緒に行って貰おうかと携帯を持ったときに丁度麻美からの電話がはいったから・・・」

『びっくりして暗い慎重な声で受けたってことね』

 後を麻美が続けた。この辺の遣り取りは流石二十年ものだ。息が合っている。

『それで本当に行くの?』

「あの辺りは街中だから、明かりも結構あるし人通りも多いから大丈夫だと思うけど。」

『私が一緒に行ってあげようか?』

「怖くないのか?」

『怖いような気もするけど、今の話を聞いてここに一人で居るのも怖い様な気がするから誰かと一緒に居た方が気が紛れて良いかなと思って』

 麻美も洋平と同じく一人暮らしをしている。洋平のアパートとは目と鼻の先ほどの距離で、付き合いも長いため、ちょくちょく行き来している。

「そうだな。俺とお前なら一晩裸でいたって間違いは起こらないだろうし」

『失礼ね。私のこと女として認識してないでしょ。私だって出るところは出てるんだからね』

「お腹の事か?」

『馬鹿!もう一緒に行ってあげないから』

 ぷーっと頬を膨らませている。電話越しで見えないが麻美のこういう仕草は結構可愛いのを洋平はよく知っている。

しかしいつの間にか洋平からお願いしたような表現になっていたが、(おいおい何かおかしくないか。)洋平も其の事に気付いた様だ、しかし今回は麻美を立てることにする。

「ごめん、ごめん。今からそっちに迎えに行くから」

 



 3へ続く

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『真夜中の電話にはご注意を!』 1



オカルト探偵倶楽部表紙1


『真夜中の電話にはご注意を!』
 
 
 
 
 
 
洋平は部屋に入ると、玄関脇にある照明スイッチを入れた。「パチッ」という音と共に乳白色の明かりが一瞬にして闇を光に変える。正面に見える掛け時計が午後九時を示していた。
「ふうっ」
大きな溜息を吐くと、肩から鞄を下ろし机の上に置く。
 洋平の部屋は一般的なワンルームで六畳程度の部屋と、小さな台所、そしてワンルームには珍しく風呂とトイレが分かれている。几帳面な性格なのか部屋は綺麗に片付いていた。
 冷蔵庫を開けペットボトルのお茶を取り出すと、グラスに注ぎ一気に飲み干す。
『ピリリリッ・・・。ピリリリッ・・・』
 ポケットの中の携帯電話が今の若者には珍しくベル音を鳴らした。洋平はグラスをテーブルに置くと、気だるそうに電話を取り出し、ディスプレイを確認する。
《 土井秀樹 》
 今頃何かなと思いながら、
「もしもし」
『もしもし。洋平!今から出でられる?』
 相手の都合も状況も御構い無しに切り出した。
「相変わらず、いきなりだな」
 疲れきった様な声で答える。
『どうしたんだ?何か疲れた様な声をしてるぞ』
「声の通り疲れてるんだよ。今日のバイト精神的にハードだったんだ」
『バイトって家庭教師だろ、何でそんなに疲れるんだ?』
「受験シーズンだからな、親も大変なんだよ。色々と相談されてさ。そういうのって精神的に結構きついんだ」
 洋平は再び「ふうっ」と大きな溜息をついた。
『でも由美加ちゃん、すごく頭の良い子だって言ってなかったっけ?全国模試でも上位にいるって言っていた様な気がするけど』 
「だから余計大変なんだよ、失敗が許されないからな」
『確かに』
 秀樹も納得したようだ。
 洋平が教えている生徒は中野由美加と言い、後一ヶ月程で受験を控えている中学三年生だ。かなり優秀な子で全国でも百番以内には入っているだろう。周囲からの期待も高く、本校創立きっての才女と教師達も口々に言っている。だからこそ失敗が許されないのだ。(そんな優秀な子を教える洋平は、優秀なのか・・・?多少の疑問は残るがそこは於いといて。)受験生本人のプレッシャーは勿論。両親のプレッシャーも相当なものだろう。ノイローゼに成らなければ良いのだが、ここ最近、由美加の様子がおかしいのだ。その事もあって今日は両親と時間をかけて話しをしていたのである。メンタル的な部分も家庭教師の仕事と言う訳だ。
 洋平は差し支えない程度の内容を説明した。
『そうか。大変だな!じゃあ余計に気分転換をしに出てこないか?』
 少し間を空けて、
『今日サークルの打ち上げがあって、今千葉と白河が一緒で、三人で二次会に行こうと思うんだけど、中山さんも誘ったんで、男一人に女三人というのはどうも居心地悪いから・・・。頼むよ」』
 電話の向こうで哀願する秀樹の姿が見えるようで、洋平は苦笑しながら。
「でももう九時過ぎてるんだぞ」
『カラオケに行くから全然大丈夫な時間だよ』
「場所は?」
 洋平は仕方なさそうに質すと、
『来てくれるのか!有難い。いつのもカラオケ屋だけど、何時頃来られる?』
「そうだなぁ」
 チラッと掛時計に目を移し、
「十時前には着くように行けると思う」
『分かった。じゃあその頃に来るって皆には言っとく・・・。よろしく!』
 秀樹は洋平からの返答を待つ前にそそくさと電話を切った。
 洋平は携帯電話を閉じると、後ポケットから財布を取り出し中を確認した。中には千円札が三枚と小銭が少々しか入っていない。
「あちゃ」
 しかめっ面をしながら再び携帯電話を手に取った。着信履歴を表示させて、リダイアルさせようと思ったが、一番上の履歴には、先程かかってきた秀樹からの履歴ではなく、何故か白河緑の名前があった。
「?」
 一体何が起こったのか解らなかった。
 白河緑の事は知っている。彼女は学年が一つ下だが、秀樹と同じ『歴史研究会』という小難しいサークルに所属しているので、何度か話をしたことがある。長髪の可愛いというより綺麗な感じの女性だ。性格もおとなしそうに見える。
 それ程親しいわけではないし、まして携帯番号など知りはしない。登録していない名前がなぜ表示されるのかが不可思議である。確か着信の時は土井秀樹と表示されていたはずだ。
 洋平は首を傾げながら、もう一度目を凝らして確認してみた。間違いなく白河緑と書いてある。その名前の下には、見たこともない番号が並んでいた。
 再び首を傾げながら、電話帳から秀樹の名前を検索し電話をかけた。二・三度コール音が聞こえると、
『もしもし』
「洋平だけど、今日お金の持ち合わせがないんだけど、どうしようか?」
『はっ?何言ってんの?』
間の抜けた返事が返ってきた。
「さっき言ってたカラオケだけど、今手持ちがないからどうしようかと思ってさ」
『カラオケ?何の話だ?』
 とぼけているのか、本気なのか。
「ちょっと前に電話で、サークルの飲み会があってその二次会で、麻美や千葉、白河さん等と一緒にカラオケ行くから出て来いって・・・」
『俺お前に電話なんかしてないぞ。それに飲み会なんかしてないし。』
「・・・」
『お前寝惚けてるのか?俺七時からずっと『どっこいモノマネ大賞』を視てたんだぞ。』
 そう言えば今日学校でそんな話をした。今日はモノマネのテレビがあるから早く帰らないと初めから視られないという様な事を言っていた様な気がする。
「そう言えばそんな事言ってたな・・・」
 間の悪い時間が数秒。
「ところでお前白河さんの連絡先知ってる?」
 洋平はバツが悪くなったのか話題を変えた。
『同じサークルだから知ってるさ。・・・あっ。お前も白河狙ってるのか?競争率高いと思うけどな。結構可愛いから人気があるぞ』
「いやそう言う訳じゃあないんだけど、ちょっと気になることがあってさ」
『気になる事って?』
 洋平は先程秀樹(と思われる?)からかかってきた電話の内容と、その後なぜか知らないはずの白河緑の着信履歴が残っていたという話をした。
 何かの勘違いだろうという様な事を秀樹は言っていたが、その後白河緑の連絡先を聞き、先程掛ってきた電話番号と照らし合わせてみると番号は完全に一致していて間違いなく白河緑の電話番号だとわかった。
『何だかよく分からないけど、俺は電話なんかしてないぞ」』
 秀樹は念を押すように言うと、テレビの続きを視るからと言って電話を切った。
 洋平は再度着信履歴を確認してみる。やはり何度見てもそこには白河緑の名前と今秀樹から聞いた番号が表示されていた。その番号にかけてみようかという衝動に駆られたが、白河緑に繋がったところで何を話していいかわからない。それ程親しくはないのだ、突然の電話を不審に思うかもしれない。気にはなるのだが結局諦めてテレビを点けた。
 『どっこいモノマネ大賞』をやっていて、既にクライマックスで大御所同士の最終対決をしている。流石に人気があるだけあってそれなりに面白く、先程起こった奇妙な出来事が脳裏から消え去る程、腹を抱えて笑った。
 番組が終わり、風呂にでも入ろうかと立ち上がった時、
『ピリリリッ・・・。ピリリリッ・・・』
 テーブルの上に置いてあった携帯電話が鳴った。洋平は電話を手に取り、着信表示を確認する。
「!?」
 そこにはまた白河緑の名前が表示されていた。
「はい。・・・神崎です」
 恐る恐る取る、
『・・・・・・・・・・』
 何の返事もない。
「もしもし。神崎ですけど。・・・白河さん?」
『・・・・・・・・・・』
「もしも・・・」
 再び問いかけようとした時、受話器からキーンという甲高い音が鳴り響いたかと思いと。老婆のようなしわがれたこ声で、
『どうして来てくれない・・・・・。どうして来てくれない・・・・・の。ずっと待ってるのに・・・・・・・・た・す・け・て』
 再びキーンという甲高い音がすると、
『プーッ。プーッ。プーッ』
 不意に電話が切れた。




 2へ続く

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スタート!

 

 

以前の作品を加筆修正をして再度掲載していきます。

過去読まれた方も、初めて読まれる方も感想を頂ければと思います。

題も少し変えました。


 
オカルト探偵俱楽部 

『真夜中の電話にはご注意を!』



 

 登場人物

神埼洋平(かんざきようへい)  19才  本編の主人公。瞳が紺碧になった時、特殊な力が覚醒する。

中山麻美(なかやまあさみ)  20才  さっぱりとした性格、洋平とは腐れ縁。

土井秀樹(どいひでき)     20才  古武道に長けたひょうきん者、人と少しずれている。

千葉美紀(ちばみき)       20才  おとなしい性格だが芯の強い女性、洋平に思いを寄せている。            

白河 緑(しらかわみどり)     20才  後輩。

中野由美加(なかのゆみか) 15才  洋平の家庭教師の生徒。成績優秀な子。

 

真夜中にかかってきた奇妙な電話、それの意味するものは?




次回スタートこうご期待!?





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暑いですな!

  画像をクリックすれば拡大されます。

出撃 

 
何はともあれお久し振りです。

この暑さの中、皆様どうお過ごしでしょうか?

私めも熱中症になりはしないかと、冷や冷やしながら猛暑の中堪え忍んで仕事をしております。


お盆に入り少しはゆっくり出来るかと思いや、中々そうは問屋が卸さないようで既に過酷な休みの予感が・・・。


皆様も体に気をつけてもう少しの夏?を乗り切りましょう。



ではまた。


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