スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

『幽体離脱はお好きですか?』 3

 
 
オカルト探偵俱楽部2 

『幽体離脱はお好きですか?』



 



 久保西総合病院では風間慎介の意識甦生作業に担当医師は右往左往していた。外傷はほとんど無い。あの事故の状況からして奇跡に近いといえるだろう。内臓器官も何一つ問題無く、健康な人間と遜色ない状態なのに、なぜか意識が戻らないのだ。担当医師は頭をかしげながらも懸命に甦生作業をしている。

 当の慎介はというと、不思議そうにその作業を医師や看護師たちの頭上から見ていた。

『あれっ!俺があそこにいる』

 もう一度ゆっくり、じっくりとベットに横たわった人物を見てみる。やはり自分のようだ。

『俺、死んじゃったのかな?はっきり憶えてないけど、子供を助けようとして車に撥ねられたんだよな?』

 そう言いながら両の手の平を目の高さにまで上げ、まじまじと見た。少しばかり透明がかっているようにも感じる。

『幽体離脱ってやつかな?・・・だったら自分の身体に戻れるかな?』

 そう思った慎介は下に見える自分に近づき戻れるかどうか不安に思いながらも、身体を重ね合わせてみた。しかし何の変化も起こらない。

『えっ!・・・どうやったら戻れるの?』

 自問自答するように問いかけた。それからも何度か色々な方法で試してみたが、何をやっても、自分の知っている限りのどんな方法でも自分の身体に戻れない。

 慎介は諦めて、その場所から離れていった。

4へ続く




        
にほんブログ村 小説ブログへ


スポンサーサイト
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

『幽体離脱はお好きですか?』 2

 
 
オカルト探偵俱楽部2 

『幽体離脱はお好きですか?』



 

 その頃神崎洋平は学食でいつもの日替わり定食を食べていた。土井秀樹とは専攻科が違うため昼食を一緒にとることは滅多に無い。中山麻美や千葉美樹についても同様だ。しかし今日は珍しく四人揃っている。

「なあ!今度の日曜、って言うか明後日海にでも行かない?」

向かいに座っている秀樹が左手で器用に箸を使いながら言った。

「今年は特に猛暑日が続いているし、いいかもな!」

洋平が食事を終え箸を置きながら答える。

「千葉さんと麻美も行くだろう!何か予定が入っているなら仕方ないけど」

「私は良いけど。・・・美樹はどうする?」

「私も大丈夫」

 美樹はそう言い洋平の方を見て、洋平と視線が合うと、慌てて目を逸らした。

 そんな様子を見ていた秀樹が、

「千葉は見るからにプロポーションが良さそうだから、当然ビキニだよな」

 と、美樹の洋平に対する気持ちを知ってか知らずか茶化すように言った。美樹の顔が少し赤くなる。

「貧相な麻美と比べると格段の差がありそうだな」

 洋平のその一言に、

“キラーン!!”

 麻美の瞳が鈍く輝いたかと思うと、洋平の後頭部に衝撃が走った。

“バッコーン!!”

 周りの人が何事かと振り返って見るほどのすさまじい音が学食内に響き渡る。

「痛ってぇ~!何するんだよ?」

 後頭部を押さえながら隣にいる麻美を睨みつける。麻美の手には何故か丸い食器が持たれていた。

「私のナイスプロポーションも知らないくせに」

「知ってるさ。十年前まで一緒に風呂に入ってたからな」

「あのねえ。十年前っていいたら小学生でしょ。あの頃と今と同じにしないでよね」

「同じだろ!俺には違って見えないけどな?・・・それに普通自分でナイスプロポーションとか言うか?」

「うっ」

 麻美が反論できないでいると。追い討ちをかけるように。

「そうか!人には絶対言ってもらえないから、自分で言うしかないんだ」

 その言葉に麻美の瞳が真紅に燃えた。再び右手が天に向かって高く上がる。今度は何も持っていないようだ。そのまま振り下ろされるかと思いきや。ふと、麻美の視線が洋平を通り越して数メートル先にいる一人の女性に移った。

「あっ。白河さん」

 その声に三人の視線が一斉に麻美の視線を追った。麻美は振り上げた右腕を下げる際、洋平の頭をたたくふりをして小さな声で「バーカ。」と呟いた。

 彼等の視線の先にいる目標の人物である白河緑もその視線に気付いたようだ。少し恥ずかしそうに小さく会釈しながら近づいてきた。

「何だか久し振りね」

 真っ先に麻美が声をかける。

「はい。あの時はありがとうございました」

 白河は深々と頭を下げた。彼女は半年ほど前にある事件に巻き込まれて、心身共に大きなダメージを受け、しばらくカウンセリングを受けていたのだ。

 今の彼女を見る限り、あの時の後遺症はすっかり良くなっている様だ。

「そうだ。白河さんも一緒に、明後日海に行かない?」

「えっ!」

 洋平の突然の誘いに少し戸惑った様な声をあげたが、しばらく考えるような仕草をすると、小さく頷いた。

 

 





3へ続く




        
にほんブログ村 小説ブログへ


(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

『幽体離脱はお好きですか?』 1

 
 
オカルト探偵俱楽部2 

『幽体離脱はお好きですか?』



 

 

風間慎介は、夏休みの夏期講習を受けるために通学していた。ぎりぎりまで寝ていたため、まだ頭がボーッとしている。空ろな目をしながらゆっくりと歩いていると。不意に何かが前を横切った。大きなゴムボールだ。そのボールを目で追っていると、それを追うように少年が飛び出してきた。車の急ブレーキが響き渡る。

 「危ない!」

 車道に飛び出した少年を助けるため、咄嗟に走り出し、その少年を抱きかかえるようにして、再び歩道の方に戻ろうとした。しかし一瞬の差で車に接触し、歩道に投げ出され、地面に叩きつけられた。少年を抱きかかえたまま歩道を何度もバウンドし、街路樹に激突して止まった。周りにいた人達が一斉に駆け寄る。数人の人達が慎介と少年を取り囲んだ。

「一樹!」

 その少年の名前は一樹というのだろう。母親と思われる女性が人並みを割り込むように入ってきた。慎介は朦朧とした意識の中、少年を大事そうに抱きかかえている。少年は掠り傷で済んだようだ。慎介の腕の中から抜け出すように起き上がると、集まった人達をキョロキョロと見渡し、その中に母親を見つけたのだろう。一人の女性に走り寄って行った。

「ママ!」

 その女性は両手を大きく広げて少年を迎え入れ強く抱きしめた。少年といってもまだ四歳か五歳位だろうか?小さな腕を母親の身体に巻きつけるようにしがみついている。

 しばらくすると救急車がけたたましいサイレンを鳴らしてやってきた。野次馬が蜘蛛の子のように散らばる。タンカを押した救急隊員が慎介の脇にやってくると、手際よく対処しわずか数分で車内に運び込み、当事者の子供とその母親も乗り込む。

 しかしすぐには発進せず、中で無線の遣り取りをしていたかと思うと、再び耳障りなサイレンを鳴らしながら走り去っていった。

 警察が数分遅れてやってきたが、接触した車の姿がなくなっている。黒いセダンで全てのガラスを真っ黒にコーティングしてあり、中には数人乗っていたような気がする。一瞬停まって,そのまま逃げるように走り去って行ったようだ。何人かの人がその車を目撃していたが、プレートナンバーまで憶えているものはいなかった。警察も加害者がいないため、交通課から刑事課に状況を引き継ぎ、轢逃げ事件として捜査されることになった。

2へ続く




        
にほんブログ村 小説ブログへ


(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
(この一行は、各ページ下部に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
カレンダー
09 | 2012/10 | 11
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
にほんブログ村
にほんブログ村ランキングに参加しています。少しでも気に入っていただければ下記バナーをクリックしていただければ幸いです。
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

月別アーカイブ
サイドバー2下の追尾スペース
ここに追尾させたいものを記載します。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。