スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

「嗤う鬼火」 10

img044.jpg     お薦め文庫バナー2


   今までに書いたイラストや小説の保管場所。最近読んだ本で、個人的に面白いと思ったものを紹介しています。



 その日の授業も滞りなく終了し、私は下校と共に倉橋君と神社に向かった。

今朝行った神社に私は今まで行ったことがなかった。近くを通ることはあったけど何を祭っているのか分からなかったし、入り口の鳥居の雰囲気からしてかなり古く、決して明るく開けた感じもなくむしろ既に人の介在していない寂れた神社だと思っていた。

 鳥居から細く暗い階段を結構上がらなければならないし、下から見上げた感じも夜は絶対通りたくない陰気な感じがする。

だけど実際上がってみると上は広く明るい。私はこの神社に対しての評価を改めなければならないようだ。

 今倉橋君とその階段を上がっているが、失礼な感覚を反省してもこの階段はやはり一人で上がるのには二の足を踏んで躊躇する。折角二人でいるというのに決して若い二人の爽やかな交際とは言い難い場所だ。

 べ、別に倉橋君と付き合っているわけではないけど・・・。倉橋君は私のことどう思っているんだろう。

 境内まで辿り着くと神主さんは待っていてくれたのか縁側に腰を掛けてお茶を啜っていた。何だかテレビドラマか映画のワンシーンのような穏やかさだ。

 私達に気付いたb神主さんは、

「おっ、来たね。ちょっと待っていてくれるかい」

 そう言って立ち上がると奥に入っていき、ほんの数秒で出てきた。手に何か紙を持っている。

「この御札を肌身離さず持っていなさい」

 私に差し出す。私はそれを受けとるとその御札に視線を移した。御札は葉書程の大きさで、中心部には何て書いているのか分からないけど梵字ようなものが大きく書かれていて、その周りにこれまた何を書いているのか分からない暗号のような文字で装飾されている。

 私はしばらくそれを見入っていた。

「これって折り曲げても大丈夫ですか?」

 私は恐る恐る質問した。

「大丈夫だよ。小さく折り畳んで出来るだけいつも身に付けているものに入れておくといいよ」

 私は神主さんに、有り難うございますと丁寧に頭を下げると、取りあえず半分に折りカバンの中に入れた。

 

神社からの帰り、外はまだ明るく人の行き来も多かったので二人で『アルテイシア』に寄った。マスターである叔父さんに嬉しい冷やかしを少し受けたが、倉橋君と対峙するように座り、倉橋君はいつものミックスジュースを注文し、私も同じものを頼んだ。

「あの神主さんは昔からの知り合い?」

 倉橋君は私の顔に視線を移し少し間を開けて、

「俺の両親が事故にあったとき、ちょうど居合わせた三宅さんが色々と事故処理をしてくれたんだ。最初は施設に入る予定だったけど、三宅さんと叔父さんが知り合いだったことから叔父さんの家にお世話してもらえるように段取りしてくれて、まあ俺にとっては恩人みたいな人かな。叔父さんも快く引き取ってくれたから感謝しているんだ」

「そうなんだ。優しそうな人だもんね、神主さんらしくないけど」

「でも三宅さんの神通力はかなりのものらしくて、その筋の人には有名なんだよ」

「じゃあ、この御札は期待して持っていんだ」

「今のところ大きな実害は出てないけど、これから何が起こるか分からないし、その御札は肌身離さず持ってれば何らかの形で絶対役に立つと思う」

 倉橋君の少し大袈裟ともいえるその言葉に私は身震いを感じた。


最初から読む      「嗤う鬼火」11に続く



では後ほど!







スポンサーサイト
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

「嗤う鬼火」 9

img044.jpg     お薦め文庫バナー2


   今までに書いたイラストや小説の保管場所。最近読んだ本で、個人的に面白いと思ったものを紹介しています。



私は急いで家を出ると、倉橋君の家というより喫茶『アルテイシア』まで少し小走りで向かった。

既に倉橋君は表に出て待っていてくれた。

「おはよう!」

 私から声を掛ける。

「おはよう」

 倉橋君からの返事。

何だか朝待ち合わせして登校している恋人達みたいなシチュエーションに胸がときめいた。倉橋君が先に歩き出す。私は彼を追うようについて行く。数歩行ったところで、倉橋君が前を向いたままで、

「昨日の夜は何もなかった?」

 なっ、何と倉橋君の方から声掛けが・・・。私は歩速を速め横に並んだ。

「昨夜は普通で何もなかったよ」

「そうか。ならいいんだ」

 たったそれだけの会話だったけど何だか嬉しい。

 神社に着くと、昨夜と同じように境内を掃除している神主さんの姿があった。

「おはようございます」

 二人同時に挨拶をする。

「おはよう」

 神主さんもいつもの笑顔で応えてくれた。

「何かわかりましたか?」

 倉橋君は解答を急ぐように切り出した。

「まあそんなに慌てるものではないよ」

 ゆったりとした返事が返ってくる。

「まだはっきりしたことが分かったわけではないが、何らかの霊的現象が彼女の身に起こっていることは間違いないようだから強めのお札を作ろうと思うんだか」

 神主さんは袈裟のポケットから無地の用紙を取り出すと、

「これにあなたの名前、生年月日、住所を書いてくれないかい」

 そう言って私にその紙とペンを差し出した。私はそれを受け取り境内の上で情報を書き込んで渡す。

「今日中に念の入ったお札を作っておくので、面倒かもしれないが学校帰りにもう一度よってくれないかい」

 私の書いた紙を受け取りながら言った。

「おっと!そろそろ八時を過ぎる頃だろうから、早く学校に行かないと遅刻するかもしれないよ」

 私は左手首にしているミッキーマウスの腕時計に目を移す。本当だもう八時を過ぎてる。急がないと本当に遅刻しそうだ。でも神主さんは時計も見ないでどうしてこんなに正確に時間が分かるんだろうと感心していると、隣の倉橋君がすっと立ち上がり、

「すみませんがよろしくお願いします」

 そう言うと何も言わずに歩き出した。私も慌てて立ち上がり神主さんに頭を下げて彼を追った。何か一言でも言ってくれればいいのに。そう思いながら小走りで追いかけている私の後から、

「もう少し彼女に優しくしなさいよ!」

 この神主さん本当にいい人だ。絶対間違いない!

 

 

 

 




 


最初から読む      「嗤う鬼火」10に続く



では後ほど!





(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

「嗤う鬼火」 8

img044.jpg     お薦め文庫バナー2
   今までに書いたイラストや小説の保管場所。最近読んだ本で、個人的に面白いと思ったものを紹介しています。



第三章「事件

 

 その日の夜事件は起きた。隣町にある私立大学の学生グループ三人が人恋坂に面白半分で訪れ、都市伝説の真意を確かめようと墓地の周りを散策していた時、一人が足を滑らせ崖から転落してしまい、それを助けようとした二人も引きずられるように落ちてしまった。幸い三人とも命に別状はなく大きく新聞やテレビで扱われることはなかった。

 

 翌朝私は早くから目を覚まし、珍しくポストに新聞を取りに行くとこれまた珍しく地域のローカルページを開いた。ただ開いたページがたまたまそのページだっただけで読むつもりはなかったけど、ある記事が目の中に飛び込んできた。

 

「真夜中の転落事故!人恋坂の呪い?」

 

 何とも新聞らしくない見出しについつい読み入ってしまう。記事の最後にこれを書いたライターの名前があり、そこには“片岡圭一“と書かれていた。

 私に起こった一昨日の体験から一日しか経っていないので、その記事の内容に悪寒が走り背中がぶるっと震えた。

 しばらく茫然としていると、

「志緒理!今日は早く行くんじゃないの?」

 家の中からお母さんの声。

 そうだ今日は朝一で倉橋君の所に行かなくてはならないのだ。

 なぜかって?ちょっと聞いてくださいな!昨日『ねえ!これからどうする?』って声をかけたのね。乙女の誘いに普通ならば『時間があるならどこか行こうか』とか『ちょっと散歩でもしようか』とか色々あるでしょ!それが、

「別に!」

 何とも愛想のない返事。こうなったら。

「美歩たち映画を観に行くって・・・・」

「そうだ!お前暇なら神社に行かないか?」

 ?神社?私は映画って言葉を発したはずだが・・・。人の言葉を遮っておいて返ってきたのが神社ですか?一体どんだけ空気が読めないんだ!

 でもこの不愛想さが少し良かったりする私って変な乙女?

「何しに神社に行くの?」

「神社に映画は観に行かないと思うけど」

 そんなことは私でも解りますよ。それに人の話をちゃんと聞いておいてこの対応ですか?本当にもう!

 でもまいっか!何はともあれ二人きりでいるというのはそれなりに進展があるかもしれないし、ひょっとして期待できるシチュエーションが起こるかも!私ってなんてポジティブ。

 そう思い結局神社に行くことになった。

 神社までものの十五分。な、なぜその間に会話がないの?どういうこと?さすがにポジティブの骨が折れそうになる。

 無言のまま神社の鳥居くぐり細く暗い階段を上る。結構しんどい。上り切ると結構開けていて広い。少し先の境内の下を大きな竹箒で掃いている人がいる。その人は私たちに気がつくと、

「おっ、巧巳君!今日は彼女と一緒かい!」

 おー!何とうれしい言葉、きっとこの人いい人に違いない。

「そんな分けないでしょ」

こっ、こらそんなに即答で否定するものではない!

「そんなことより三宅さん。相談に乗ってもらいたいことがあるんですけど」

 この神主さん三宅さんって言うんだ。なんだか普通の名前。もう少し神事っぽい名前かと思ってたけど、まあ考えてみれば神主って言っても普通の人なんだから当然か!

「巧巳君が改まって相談ということは、やはりあっちがらみのことかな?」

「ご明察通りです」

何と抽象的な会話。

「今回は一体どんなことが起こったんだい?」

「一昨日の事なんですけど、友達四人で夜中十一時頃人恋坂に行ったんです。その時二つの鬼火が現れて・・・。その内の一つは友達の悪戯ということがわかったんですが・・・」

 倉橋君がそこまで言ったとき、

「長い話しになりそうだから取りあえずここに座って話を聞こうか」

 神主さんは境内の濡縁を勧めて自らも腰を下ろした。私達も横に並ぶように座る。そして倉橋君は話を進めた。

「二つのうち一つは悪戯だったのですがもう一つはどうも本物のようで、その一つの鬼火が小さく球体になって彼女の体内に入り込んだような気がして」

 倉橋君は私に視線を送り再び神主さんの方を向くと続けてはなしはじめる。その後の人恋坂のこと、私が自宅で体験した奇妙な現象など事細かに説明した。かなり長い話しになったけど神主さんは真剣に聞いてくれた。

「話は解った。少し確認したいこともあるし、少し急いだ方が良さそうな事象だから、明朝通学の途中にでも寄ってくれないかい」

 という経緯があり今朝は早めに倉橋君と通学することになったのだ。

 

 

 

 

 




 

最初から読む       「嗤う鬼火」9に続く



では後ほど!




(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

倉敷ツーデーマーチ

 3月の8日、9日と岡山県倉敷市でツーデーマーチというのがありました。要はひたすら歩くのですが全国から1万人程の人が参加したそうです。私は9日の10Kmに参加しました。


 コースは倉敷美観地区の5Km、倉敷周辺の10Km、20Km、そして瀬戸大橋まで歩く40Kmコースがありますが、無理をせず10Kmでの参加としました。


 前半の5Kmまでは快調に歩いていたのですが、それを過ぎた辺りからどうも歩速が怪しくなり、足が少し痛くなってきました。(運動不足がたたっているようです。)


 色々なところから来られている人達と、会話をしながら自分のペースで歩き結構楽しかったです。青森県の方から来ていた方は全国のツーデーマーチに参加しているらしく、今回で69回の参加という人がおられました。歩いているせいか、70才ということでしたがとても元気そうでした。ご夫婦での参加で微笑ましかったです。


 機会があれば色々なところのツーデーマーチに参加してみたいと思いました。



 いやー、疲れました。きっと筋肉痛になるでしょうね!

それでは後ほど。





(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

「嗤う鬼火」 7

img044.jpg     お薦め文庫バナー2
   今までに書いたイラストや小説の保管場所。最近読んだ本で、個人的に面白いと思ったものを紹介しています。



「ねえ。私もまぜて!」

  不意に背後から声が掛かり、振り返るとさっきまで付けていたエプロンを外した佐緒里さんが近づいてきて注文の品をみんなの前に置くと、近くにあった椅子を引っ張り私と直角になるような位置に座った。

「良いのか?」

 倉橋君が少し面倒臭そうに言う。

「今日はこれでおしまい。お父さんが折角だから一緒に話をしてくればって」

 今日はこれでおしまいって。今午前十時、これから忙しくなってくるんじゃないかと多少の心配をしながら、改めて佐緒里さんを見た。髪を肩上辺りで綺麗にそろえていて少しきつそうに見えるけどとても綺麗な顔立ちをしている。きっとこういうのを美人って言うんだろうな。どことなく倉橋君と似ているような気もする。

「あなたが志緒理さん?」

 佐緒里さんが私の方を見て声を掛けてきたので慌てて視線をそらす。その行為か何だか嫌な態度に取られそうで再び佐緒里さんの方に視線を向けると。

「はい。倉橋志緒理です」

 少しどきまぎしながら一オクターブ高い声で返事をしてしまった。あ~!私何焦ってるんだろ。

「巧巳が見初めるだけあって可愛いわね」

「!」

 えっ!今なんて!私は何かの聞き違えかなと思い、佐緒里さんの顔をしばらく見つめ、今度は倉橋君の方に向いた。

 倉橋君は冷静さを保っているようだけど、どことなく表情に強張りがあるのは気のせい?

「さっき少し聞こえたんだけど、どうして巧巳に霊傷とかがわかるかって言うと」

 突然話を戻され、最も聞きたい事が聞けなくなってしまった。出来ればもう少し詳しく話を聞きたかったのだけど・・・。

「巧巳のお父さんとお母さん、十年前に飛行機事故で亡くなって、兄妹もいないし天涯孤独になっちゃったんで、私のお父さんが引き取ることにしたんだけど、その頃から少し変わった子だったのよね」

 倉橋君の両親が亡くなっていたなんて知らなかった。だからあんなに哀愁を漂わせているのかな?そんなことを考えていた私の横で、佐緒里さんは倉橋君の前に置いたミックスジュースを手に取ると自分の物のように刺してあるストローに口を付けた。

 なっ!さっき倉橋君が飲んでたから、それを飲むって事は、間接キッス!

「私も最初は取っつきにくい子だなって思ってたんだけど、十年も一緒にいると色々と解ることもあってね」

 何事もないように話を続ける。

「簡単に言うと巧巳は特異体質なのよ。信じる信じないは別にして」

「特異体質?」

 私の興味は完全にこちらの話に移行してしまった。特異体質ってテレビでやっているような奇人変人体質のことかな!?

「特異体質って行っても奇人変人みたいな者じゃないのよ」

 考えを見透かされたみたいで、少し恥ずかしくなって俯いてしまった。

「どう説明すればいいのかな・・・。簡単に言えば霊能力みたいなもので、要は人に見えないものが見えるって言うか・・・。まあ幽霊が見えるって事かな」

 一旦言葉を止め、再び倉橋君のミックスジュースを飲む。何で?自分のを頼めば、いや作ってくればいいのに。

「でもね、いつも見えるっていう訳じゃないみたいで。本人曰く何かの拍子にスイッチみたいなものが入るんだって。いつどこでどんな状況で入るのかは分からないみたいだけど」

 俄に信じがたいことをサラッと言いのける佐緒里さんを見ながらも、ついつい倉橋君のミックスジュースに視線が行ってしまう。

 この二人どんな関係?・・・気になる・・・。

「それで昨日倉橋に夜気を付けろって言ったのか。で何が見えたんだ?」

 中馬君は何かを納得したように言った。佐緒里さんの言ったことを疑うことなく信じたようだ。まあ倉橋君との付き合いも長いようだからそれなりに感じていたことがあったのかもしれないけど。

 でも倉橋君はその中馬君の問いに答えようとはしなかった。何か言いにくい事でもあるのかな!私に関することだから多少の不安を感じる。

 そう言えばあのことを言ってなかった。

「私もう一つ言ってない事があるんだけど」

 私のその言葉に四人の視線が一斉に私の顔に突き刺さった。なぜだかその視線に痛みを感じながら、

「昨日人恋坂で鬼火を見たとき。誰かが私の肩を叩いたような気がするの」

 私達は横向きに一列に並んでいて、背後には五人目の存在がない限り絶対誰もいなかった。鬼火に関しては中馬君の悪戯だったようだけど、あの時の感覚は今でもはっきり覚えている。その時の状況を簡単に説明した。

 佐緒里さん以外は現場にいたので状況の飲み込みが早いようだ。

「気のせいじゃないの?」

 佐緒里さんが一笑に付した。

「私も最初はそう思ったけど、佐緒里さんの話や、この手首の痣のことを考えるとひょっとして誰かが居たのかなって」

 その時の状況を思い出して私は小さく身震いした。その行為に反応してくれたのか倉橋君が重い口を開き始めた。

「確かに俺にはいつもって言う訳じゃないけど人に見えないような何かが見えるときがある。あの時みんなも見てたと思うけど女の人の霊が現れ、彼女が消えたときその場所にまだ小さな玉のようなものが残ってたんだ。これは多分みんなには見えないものだったんだと思う」

 確かに私にはそんなものは見えなかった。

「みんなが走って逃げ始めたら、その玉は追いかけるようにみんなの方に移動して、その玉が俺の横を通過したとき、その玉の中に女の人の顔が見えたんだ。その顔は俺の方を横目で見ると、まっすぐ倉橋の方に向かっていき、背中にぶつかったように見えたんで、俺は中馬に連絡して倉橋に注意するように言ってもらい、しばらくその場に居たんだけど、その後何も起こらなかったので家に帰ったんだ」

 あの無口な倉橋君が何とこんなにも言葉を発するとは、やれば出来るじゃない!

「多分その時の霊が倉橋に憑いて何かを訴えようとしたんじゃないかと思う」

 そこで閉口してしまい。次の言葉は出てきそうになかった。

 私に霊が憑いてるの?今の話だと偶然私という訳ではなく意図的に私に憑いたように聞こえたけど、なぜ私?

「それ程邪気のようなものは感じなかったから大丈夫と思うけど用心するに越したことはないから」

 私を安心させようと思ったのか、倉橋君はいつもの無愛想な表情に戻り私に言った。これって照れ隠しなんだとわたしは倉橋君の性格の一部を垣間見たような気がして少しうれしかった。

 それから大した話の進展はなく、会話はごく一般的な世間話になっていき、お昼前には解散した。中馬君と美歩はせっかくの日曜だからといって二人で映画を観に行ってしまった。私と倉橋君と佐緒里さんはしばらく「アルテイシア」にそのままいてたわいのない話をしていたが、時間も正午を過ぎた頃お客さんも少しずつ増えてきたので、佐緒里さんは再び店の手伝いに戻り、私と倉橋君も余り長居をしても悪いので店を退出することにする。

 店を出ると私と倉橋君は肩を並べるようにして歩いた。しばらく無言状態が続いたが、思い切って私の方から声を掛けた。

「倉橋君って、佐緒里さんの家に一緒に住んでるの?」

 こんな事聞いて良いのかな?

「俺が五歳の時、両親が事故にあったから、それ以来ずっとおじさんに世話になっているし、佐緒里は姉貴みたいなものだから、相談なんかにも乗ってもらっている」

 前を向いて歩きながらボソッと言った。

 佐緒里さんが倉橋君のことをどう思っているか分らないけど、倉橋君は佐緒里さんのことをお姉さんみたいに思っているのか!少しほっとしたような・・・でもどんな相談しているんだろう?恋愛の相談とかしているのかな?

 余りイメージがわかないけど・・・。

「ねえこれからどうするの?」

 まだお昼過ぎ、時間はたっぷりある。私は期待を込めて言ってみた。

 

 

 




 

最初から読む       「嗤う鬼火」8に続く



では後ほど!




(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
(この一行は、各ページ下部に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
カレンダー
02 | 2014/03 | 04
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
にほんブログ村
にほんブログ村ランキングに参加しています。少しでも気に入っていただければ下記バナーをクリックしていただければ幸いです。
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

月別アーカイブ
サイドバー2下の追尾スペース
ここに追尾させたいものを記載します。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。