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幼馴染は婚約者 「写真部怪奇事件」     第四章 「昔に何がありましたか」 3

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第四章 「昔に何がありましたか」 3

  時を同じくして、その時の圭介は、もう一人の山本宅の前で立ち止まっていた。何度も地図と目の前の家を見返す。その家は数回訪れたことのある家だった。自宅兼店舗として建てられており、店舗の看板には『山本写真館』と書かれている。正にそこは写真部に所属している山本早苗の自宅だった。

 山本早苗から年の離れた兄がいるということを聞いたことはない。従兄か何かだろうか? 取り敢えず話を聞いてみようと店舗のドアに手を掛けた時、ポケットのスマホが小さく振動した。圭介は一旦引き返し少し離れた場所に移動すると電話を受ける。

『もしもし圭ちゃん、早川先輩が大変なの! 何だか急に錯乱状態になっちゃって、今は少し落ち着いたみたいだけどどうすればいいの?』

 一気にまくしたてるように話す真理恵に、

「分かった、落ち着いて、今どこにいる?」

「もう少しで図書館に着くところ、少し手前の自動販売機が並んでいるところの近く」

「わかった、直ぐ行く」

 圭介はその場から引き返し県立図書館の方に向かって走り始めた

 走りながら圭介は考えた。もう一人の山本が山本早苗の関係者であり、十五年前とはいえ早苗が事故の事を知らないはずはない。知っていて言わなかったのか?それとも本当に聞かされていなかったのか?奇しくも嫌なことは思い出したくないだろうし、話したくもないだろう。忘れてしまいたいというが人の心情というものだ。

 そんなことを考えながら真理恵と美穂のいる場所まであと少しというところまで来たところで、圭介は徐に立ち止まった。その場に立ち尽くし視点が現実世界を見ていない表情になる。脳がフル回転しているようだ。

(そうか! 早川君との接点は何もなかったんだ。接点があるのは山本君で三村さんは山本君に何かを訴えようとしていたんだ。)

 圭介はスマホと取り出し、先程訪ねた三村宅に電話をした。

「もしもし、先程お伺いした中山ですけど、少し探して頂きたいものが有るのですが……」

 圭介は要件を足早に告げると、電話を切ると再び真理恵達の居る場所に向かって走り始めた。

 しばらく行くと、真理恵に支えながらようやく立っている美穂が見えた。圭介が近づくと、美穂が顔を上げる。顔色もよくなっていて既に平常心を取り戻しているように見えた。

 圭介が二人の前まで来ると、美穂が少しふらつくような足取りで、真理恵から離れ圭介に抱きつくように躰を預けた。圭介がそれを受け止める。

 その姿を見ていた真理恵は、膨れっ面をしながらも、今回は仕方がないと自分に言い聞かせていた。

 


第四章「昔に何がありましたか」 3 完



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幼馴染は婚約者 「写真部怪奇事件」 

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幼馴染は婚約者 「写真部怪奇事件」     第四章 「昔に何がありましたか」 2

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第四章 「昔に何がありましたか」 2

 数分前の美穂と真理恵は圭介と別れたのち肩を並べて歩いていた。

「ねえ、長谷川さんと中山君はどういう関係?」

 美穂は以前から聞きたいと思っていたことを尋ねた。

「えっ! ……別に学校の先輩と後輩というだけですが」

 「そんなわけないでしょう。今年入学してきてまだ一か月ちょっとで、ここまで一緒にいるのは変でしょう。ひょっとして中山君のことが好きなの? 一目惚れってやつ?」

 少しきつい言い方かなと思いながら言うと、

 「いえ、実は私と中山先輩は幼馴染なんです。昔からよく一緒にいたんでその流れでというか……」

 歯切れの悪い言葉が返ってくる。

「そうなの! あなたと中山君幼馴染なんだ。じゃあ中山君の事よく知っているわね。彼の事教えてくれない」

 美穂はその場で立ち止まり、体ごと真理恵の方に向きを変えた。

「どうしてですか?」

 何となく不安そうな返事だ。ひょっとしてこの二人には何か秘密でもあるのだろうか。

「あなたにこんなことを言ってもしかたがないし、自分でも今一つ判らないけど、私中山君のことがひょっとして好きなのかなって思う時があるの。今まで色々な男の人に会ってきたけど中山君みたいな人は初めて」

 真理恵の表情が曇った。心の中で何かと戦っているようなそんな表情をしている。

「そうなんですか? 中山先輩は……」

 その時、目の前の景色が“すーっ”と変わっていった。先程まで晴れていた空が、どんよりと曇っている。気が付くと面の前にあの女性が立っていた。昨夜と同じ腰ほどもあるだろう長い髪に虚ろな瞳のない目、前髪が無造作に垂れている。

 自分の顔が強張ってきているのが判る。躰が思うように動かない。目の前の女性はただ目の前に立っているだけで何をするわけでもなく、じっと美穂を見ているというか、見ているように見える。彼女には瞳がないのだ。

「ど・し・・ですか?」

周りで何か声が聞こえるのだか何を言っているのか解らない。

呼吸が苦しくなってきた。

「は・か・・ぱい! ……はや・わ・・・い!」

 何かが聞こえる。誰かが何か言っているようだ、しかしどうしても内容を聞き取ることが出来ない。その時目の前のいる女性が口を開いた。

『一緒に行こう。私と一緒に行こうよ』

 脳内に響くように聞こえた。

「近くに来ないで! あなたどうして私の前に現れるの?」

『一緒に行こう。私と一緒に行こうよ』

同じ言葉が繰り返される。頭に響く声の大きさが増しているように感じられた。

「私があなたに何をしたというの?」

 手を前に突き出しその女性を遮るようにして叫んだ。

「は・かわ・せ『一緒に行こう。私と一緒に行こうよ』だい・・う・です・・」

「何・言って・・・? 『一緒に行こう。私のいる世界へ』 ・・私・?」

 目の前にいる女性を振り払うように腕を大きく振り払うが何の手応えもない。そればかりか少しずつ近付いて来ているようだ。これ程までの恐怖を今まで感じたことがない。頭がおかしくなりそうで、気が狂いそうだった。自己防衛のためか意識が遠のいていくのを感じてその場に座り込んだ。

「早川先輩、大丈夫ですか?」

 聞いたことのある声に落ちかけていた意識が戻り始めるのを感じた。大きく深呼吸をして呼吸を取り戻す。少しずつだが落ち着きが返ってくるのを感じた。

 隣で真理恵がスマホを手に取りどこかに電話している。

「もしもし圭ちゃん、今早川先輩が……」

(圭ちゃん? 誰に電話しているの? 私どうしたのだろう?)

 美穂はまだボーとしている頭で現状把握しようと努力していた。

 


第四章「昔に何がありましたか」 2 完



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幼馴染は婚約者 「写真部怪奇事件」 

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幼馴染は婚約者 「写真部怪奇事件」     第四章 「昔に何がありましたか」 1

 何とか第四章に漕ぎつきました。最近「小説家になろう」に投稿したところ、約500人の方に読んで頂いていました。有り難うございます。厳しい意見でもいいので感想を頂けたらと思います。


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第四章 「昔に何がありましたか」 1

 三村宅を後にした三人は、美穂の自宅の近くある小さな喫茶店で軽めの昼食を摂取していた。小さいながらも小綺麗にした雰囲気の店で、あちこちに南米風の雑貨を見栄えよく配置している。余り日本では目にしない南米風のパスタを三人共注文して変わった味を堪能した。食後のコーヒーを注文し一息したところで、これからの予定を思案する。

ゴールデンウィーク期間も三日目で自由に動けるのも残り一日と半分を残すのみだ。出来ることならこの休みの間に今回の事象を解決したいと考えている圭介とは裏腹に美穂はもう少しこの時間を満喫したいと思っていた。

 確かに今自分の身に起こっていることは怖いと思う。でも圭介とこれほど親密に接する機会はそうはないだろうし、圭介のことをもっと知りたいと思う気持ちの方が今の美穂には強い。これを恋というのならきっとそうなのだろう。初めて感じる心の葛藤に心地よさと不安を感じ、自分が自分では無いような感覚にとらわれる。

 美穂の焦点の合っていないような視線が圭介に向けられていることに気付いた真理恵は、美穂の圭介に対する気持ちを、女性だから分かる女の感というのか、好意を抱いているということに確信を持った。これだけの美少女に好意を持たれることに対して男性は決して悪い気はしない、色恋沙汰に無頓着な圭介でも例外ではないだろう。

圭介のことを信じてはいるのだが多少の不安を抱えつつ美穂を睨むように見ていた真理恵の視線に先に気付いたのは圭介の方だった。

「長谷川君どうしたんだ?そんなに眉間にしわを寄せて」

 圭介の言葉に我に返った真理恵は、今度はきょとんとした圭介を睨む。

(人の気も知らないで)

「ねえ、これからどうするの?」

 美穂が舌足らずの甘えた声色で圭介に言った。一々美穂の態度や言葉が真理恵の気持ちを逆なでする。これが嫉妬というものだろうと頭では理解していても心は否定しているのだろう。何となく気持ちがもやもやとしていた。

「少し考えたいことがあるんだ。それともう一人の山本さんに会ってみようと思う。この近くだと思うから」

 先程美由紀の母に簡単な山本さん宅の地図を描いてもらっている。不躾だとは思うが、もう少し情報が欲しかった。

「余り面白い話になるとは思わないけど、君達も一緒に行く?」

「行くわ! でもどうして面白い話にならいの?」

圭介の問いに、美穂が問いかけで返す。真理恵には何となく話の内容が判るような気がしていた。三角関係の縺れからきている事故なのだ。色々な意味で憎愛の話になる可能性がある。余り聞きたい話ではない。

 しかし圭介と美穂を二人きりにするわけにはいかないので、気乗りはしなかったが一緒に行くことにする。

 そんな真理恵の雰囲気に気付いたのか、

「そうだ。長谷川君と早川君に少し調べてほしいことがあるんだ。山本さんの所には僕一人で行くから二人はこれについて調べて」

 そう言いながらズボンのポケットから一枚の紙を取り出しそれを美穂に渡した。その紙には転落事件の裏付けを取るために新聞等の記事の確認を取るというようなことが書かれている。そして真理恵には美穂がその文章に目を移している時に早川美穂と三村美由紀の共通点について調べるよう小声で耳打ちした。美穂と美由紀の共通点を確認するには客観的に細見できる第三者の方が適任と判断したからだ。美穂と美由紀の何らかの共通点があり、それによって怪現象が頻発していることは大いに有り得ることなので調べないわけにはいかない。本人にそれをやってもらうのも酷なことだし、それに第三者に自分のことを根掘り葉掘り精査されるのは気持ちの良いものではない。だから本人に分からないように調べるには一緒に行動し、さり気無くするしかない。本人と一緒に行動しその当事者に気付かれないように調べるのは困難を極めることかもしれないが真理恵は快諾した。敵を知り己を知ればということもあるのかもしれない。

「どこでこんな昔の事を調べればいいの?」

 美穂が手に持った紙を前に差し出すようにしていった。

「学校の近くにある県立図書館に行けば、過去数年の新聞記事がデータとして保存されていると思うからそこで調べるといいよ。じゃあ僕は山本さんに会ってくるから後は頼むよ。後で連絡するから」

 そう言って圭介は立ち上がると、伝票を持って会計に向かい会計を終えると、美穂と真理恵の方に向き軽く手を挙げて店を出た。店の前で一度立ち止まり先程三村宅で説明を受けた方向に歩き始めた。

「私達も行こうか」

 美穂が真理恵を促し店を出ると、圭介とは反対の方向に歩いた。しばらく無言で歩いていたが、

「ねえ、長谷川さんと中山君はどういう関係?」

 突然の質問に、

「えっ! ……別に学校の先輩と後輩というだけですが」

 「そんなわけないでしょう。今年入学してきてまだ一か月ちょっとで、ここまで一緒にいるのは変でしょう。ひょっとして中山君のことが好きなの? 一目惚れってやつ?」

 疑心を抱いているような視線を真理恵に向けて言った。

「いえ、実は私と中山先輩は幼馴染なんです。昔からよく一緒にいたんでその流れでというか……」

 この辺りはいずれ知られることなので正直に言っても大丈夫だろうと判断したようだ。

「そうなの! あなたと中山君幼馴染なんだ。じゃあ中山君の事よく知っているわね。彼の事教えてくれない」

 美穂はその場で立ち止まり、体ごと真理恵の方に向きを変えて、目を輝かせている。

「どうしてですか?」

 どんな返事が返ってくるかは、九割の確率で分かってはいたが、一応尋ねてみる。

「あなたにこんなことを言ってもしかたがないし、自分でも今一つ判らないけど、私中山君のことがひょっとして好きなのかなって思う時があるの。今まで色々な男の人に会ってきたけど中山君みたいな人は初めて」

 案に上の返答だった。真理恵の心にもやもやとした感情が湧いてきたが、何とか自制心を保ち何事もないように引き攣った笑いをしながら言葉を返す。

「そうなんですか? 中山先輩は……」

 そこまで言ったとき、美穂の表情が強張ってきたのを顕著に感じた。目を見開き化石化したように動きが止まる。真理恵は急激な美穂の変化に言葉を止め、

「どうしたんですか?」

 と、問いかけたが反応が返ってこない。

「早川先輩! ……早川先輩!」

 美穂はそんな真理恵の言葉を振り切るように、

「近くに来ないで! あなたどうして私の前に現れるの?」

「!」

「私があなたに何をしたというの?」

 手を前に突き出し何かを遮るような行動で叫ぶ。少し狂乱気味になっているようだ。

「早川先輩、どうしたんですか? 大丈夫ですか?」

「何を言っているの? なぜ私が……」

 真理恵も何事が起こったのか理解できないまま必死に美穂に声を掛ける。しかし美穂の行動は激しくなっていくばかりで収集がつかない。周りにいた人達も何事かと立ち止まるものもいた。そうしているうちに美穂の動きが急に止まりその場に座り込んでしまった。

「早川先輩、大丈夫ですか?」

 落ち着きを取り戻したと判断したのか、優しく問いかけた。美穂は大きく荒い呼吸を繰り返していたが、少しずつそれが落ち着いたものに変わってきた。



第四章「昔に何がありましたか」 1 完



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