『幽体離脱はお好きですか?』 5

オカルト探偵俱楽部2 

『幽体離脱はお好きですか?』






 風間慎介は海水浴場を歩いていた。というより一般の人達と同じ高さの視線で移動していたというべきか。その姿を見ることが出来たなら何の違和感も無いだろう。しかしその姿は誰の目にも留まることは無かった。
 なぜ慎介がここにいるかというと。あれから色々と考えてみたが納得にいく解答が得られず、そうしているうちに昨年友達と来た海に自然と足が向いていったのだ。慎介にとって一番新しい最も記憶に残っている出来事だった。
 昨年友達と来た海は何も変わっておらず、大勢の人達が各々で楽しんでいる。慎介はそんな人達を横目に、昨年盛り上がった海の家に足を運んだ。
 海の家は案外空いていた。というのもガラの悪そうな数人の男達が大きな態度で大声を出している。これでは一般のお客は近づき難い。
 慎介はその男達に近づいた。二~三メートル程の距離まで近づいても、男達は案の定慎介に気が付かない。やはり一般の人には慎介の姿を見ることができないのは事実のようだ。
 男達は店に文句をつけているようだ。注文したものと違うものがきたから代金を払わないというような事を言って、大の大人が情けないほど子供っぽいことで因縁をつけている。その割には出されたものは奇麗に完食されていた。ようは代金を払いたくないという事の口実に過ぎないのであろう。店の人は怯えて表に出てこない。
その下らない内容を聞いた慎介は、姿が見えないという事を良い事に、脳裏にチョッとした悪戯心が芽生えた。
一人の男の後ろに立ち、その後ろ頭をある芸人の突っ込みのように平手で叩いた・・・。いや叩いたつもりだった。しかしその手は何の手応えもなく、慎介から見ると、相手の方が透けているようにスーッと通り抜ける。
多少予想していた事とはいえ、慎介は苦笑をかくせない。自分の置かれた状況を再確認するには十分な出来事だった。
肩を落としてその場から離れようとした時、五人の男女がやって来た。この雰囲気に動じない人もいるのだろう。彼等は店の人を確認できなかったのか、
「すみません。かき氷下さい」
 一人の男が大きな声で声をかけた。


6へ続く


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