「嗤う鬼火」 8

img044.jpg     お薦め文庫バナー2
   今までに書いたイラストや小説の保管場所。最近読んだ本で、個人的に面白いと思ったものを紹介しています。



第三章「事件

 

 その日の夜事件は起きた。隣町にある私立大学の学生グループ三人が人恋坂に面白半分で訪れ、都市伝説の真意を確かめようと墓地の周りを散策していた時、一人が足を滑らせ崖から転落してしまい、それを助けようとした二人も引きずられるように落ちてしまった。幸い三人とも命に別状はなく大きく新聞やテレビで扱われることはなかった。

 

 翌朝私は早くから目を覚まし、珍しくポストに新聞を取りに行くとこれまた珍しく地域のローカルページを開いた。ただ開いたページがたまたまそのページだっただけで読むつもりはなかったけど、ある記事が目の中に飛び込んできた。

 

「真夜中の転落事故!人恋坂の呪い?」

 

 何とも新聞らしくない見出しについつい読み入ってしまう。記事の最後にこれを書いたライターの名前があり、そこには“片岡圭一“と書かれていた。

 私に起こった一昨日の体験から一日しか経っていないので、その記事の内容に悪寒が走り背中がぶるっと震えた。

 しばらく茫然としていると、

「志緒理!今日は早く行くんじゃないの?」

 家の中からお母さんの声。

 そうだ今日は朝一で倉橋君の所に行かなくてはならないのだ。

 なぜかって?ちょっと聞いてくださいな!昨日『ねえ!これからどうする?』って声をかけたのね。乙女の誘いに普通ならば『時間があるならどこか行こうか』とか『ちょっと散歩でもしようか』とか色々あるでしょ!それが、

「別に!」

 何とも愛想のない返事。こうなったら。

「美歩たち映画を観に行くって・・・・」

「そうだ!お前暇なら神社に行かないか?」

 ?神社?私は映画って言葉を発したはずだが・・・。人の言葉を遮っておいて返ってきたのが神社ですか?一体どんだけ空気が読めないんだ!

 でもこの不愛想さが少し良かったりする私って変な乙女?

「何しに神社に行くの?」

「神社に映画は観に行かないと思うけど」

 そんなことは私でも解りますよ。それに人の話をちゃんと聞いておいてこの対応ですか?本当にもう!

 でもまいっか!何はともあれ二人きりでいるというのはそれなりに進展があるかもしれないし、ひょっとして期待できるシチュエーションが起こるかも!私ってなんてポジティブ。

 そう思い結局神社に行くことになった。

 神社までものの十五分。な、なぜその間に会話がないの?どういうこと?さすがにポジティブの骨が折れそうになる。

 無言のまま神社の鳥居くぐり細く暗い階段を上る。結構しんどい。上り切ると結構開けていて広い。少し先の境内の下を大きな竹箒で掃いている人がいる。その人は私たちに気がつくと、

「おっ、巧巳君!今日は彼女と一緒かい!」

 おー!何とうれしい言葉、きっとこの人いい人に違いない。

「そんな分けないでしょ」

こっ、こらそんなに即答で否定するものではない!

「そんなことより三宅さん。相談に乗ってもらいたいことがあるんですけど」

 この神主さん三宅さんって言うんだ。なんだか普通の名前。もう少し神事っぽい名前かと思ってたけど、まあ考えてみれば神主って言っても普通の人なんだから当然か!

「巧巳君が改まって相談ということは、やはりあっちがらみのことかな?」

「ご明察通りです」

何と抽象的な会話。

「今回は一体どんなことが起こったんだい?」

「一昨日の事なんですけど、友達四人で夜中十一時頃人恋坂に行ったんです。その時二つの鬼火が現れて・・・。その内の一つは友達の悪戯ということがわかったんですが・・・」

 倉橋君がそこまで言ったとき、

「長い話しになりそうだから取りあえずここに座って話を聞こうか」

 神主さんは境内の濡縁を勧めて自らも腰を下ろした。私達も横に並ぶように座る。そして倉橋君は話を進めた。

「二つのうち一つは悪戯だったのですがもう一つはどうも本物のようで、その一つの鬼火が小さく球体になって彼女の体内に入り込んだような気がして」

 倉橋君は私に視線を送り再び神主さんの方を向くと続けてはなしはじめる。その後の人恋坂のこと、私が自宅で体験した奇妙な現象など事細かに説明した。かなり長い話しになったけど神主さんは真剣に聞いてくれた。

「話は解った。少し確認したいこともあるし、少し急いだ方が良さそうな事象だから、明朝通学の途中にでも寄ってくれないかい」

 という経緯があり今朝は早めに倉橋君と通学することになったのだ。

 

 

 

 

 




 

最初から読む       「嗤う鬼火」9に続く



では後ほど!




関連記事
スポンサーサイト
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

コメント

コメントの投稿

非公開コメント


(この一行は、各ページ下部に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
にほんブログ村
にほんブログ村ランキングに参加しています。少しでも気に入っていただければ下記バナーをクリックしていただければ幸いです。
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

月別アーカイブ
サイドバー2下の追尾スペース
ここに追尾させたいものを記載します。