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「嗤う鬼火」 13

img044.jpg     お薦め文庫バナー2


   今までに書いたイラストや小説の保管場所。最近読んだ本で、個人的に面白いと思ったものを紹介しています。



 


 

 翌朝10時きっちりに倉橋君は迎えに来た。玄関チャイムが鳴った時には、ダイニングテーブルでコーヒーを飲んでいた私より、まだかまだかとソワソワしていたお母さんの方が軽快な動きで先にでた。何て可愛いお母さん!これではどっちがデートに行くのか分からない。

 私も後を追うように直ぐに動いたが、玄関に行ったときには既に玄関扉が開いていて、びっくりしたような顔で倉橋君が立ちすくんでいた。それはそうだまさか母親がチャイムの音が鳴るや否や飛び出すように出てくるとは思わないだろう。

「あなたが倉橋君?同じ名字だと何だか他人とは思えないわね」

 ニコニコしながらお母さんが言っていた。その言葉に少し緊張した面持ちで、

「おはようございます。志緒理さんはいますか?」

 こんな倉橋君初めて見た。割とクールなイメージがあったから何だか可愛い!胸がキュンとしてきた。おっと!こんな感情に浸っている場合ではない。

「倉橋君おはよう!」

 お母さんの後から何事もなかったように声を掛け、お気に入りの靴に足を入れると、

「じゃあ、お母さん行ってきます」

 倉橋君の背中を押すように玄関から離れる。後方から「志緒理をよろしくね」という声が聞こえてきた。もう、お母さんたら!そんな言葉を尻目に早足で家を離れると倉橋君の横に並び、

「ごめんね、びっくりしたでしょう!」

「突然だったから少し驚いたけど、明るそうなお母さんだな・・・。ところで昨夜はあれからまた何か起こった?」

 昨夜掛ってきた電話で助けられた私は、ベッドに潜り込むと誰かに聞いて欲しいとばかりにその時のことを自分の初期感覚を交えて事細かに説明したのだ。少し焦っていたので上手く話せたかどうかは分らないけど倉橋君は何も言わず私の話を簡単な相槌程度で最後まで聞いてくれた。

 話すことで少し落ち着きを取り戻すと、しばらく世間話をして電話を切り、今起こったことは夢に違いないと思える程心地よい余韻を残しながら床に着いたのだ。

「大丈夫!あれからは何も無かった」

「そうか。それならいいんだが」

「で、今から何処へ行くの?」

 私は期待二割、不安八割で尋ねてみた。なんせ前例があるもんね。

「もう一人合流する人がいる」

 貴重な期待の二割にビシッとヒビが入った。やっぱり・・・。

 重い思考を引きずりながら歩いて、先日行った神社の前を通りかかったところで見覚えのある顔に出会った。

 ガラガラ!期待の文字がたった二割しか無かった期待の文字が崩壊した。よりによってこの人!

「巧巳遅い!」

 そこにいたのは倉橋君の姉?である佐緒里さんだ。正に私の恋敵?

「佐緒里、例のものは?」

「ここにあるわよ。とろで昨夜は何処に行っていたの?私にこんな物調べさせといて家を出たまま遅くまで帰ってこないし、朝起きたらもういないし、家に帰ってきたの?」

「ああ、ちょっとな」

 倉橋君の気のない返事に佐緒里さおりさんはまだ何か言いたそうだったけど、何も言わず手に持っていたクリアファイルを差し出した。倉橋君はそれを受け取ると中身を取出し、ネットからプリントアウトされた数枚の用紙を手にしてそれをしばらく流し読みすると、私の方に向かって、

「倉橋、悪いけど佐緒里と一緒に人恋坂に行ってくれないか。俺は少し寄り道して合流するから」

 えっ、佐緒里さんと二人で!ちなみに今回はデートと言うわけではないのね。まあ期待はしていなかったけど。でも佐緒里さんと二人でなんて、何を話せばいいんだろう。

 そんなことを考えているうちに倉橋君の姿は既に小さくなっていた。その後ろ姿を見ていると、

「志緒理さん!」

私は振り返る。

「取り敢えず行きましょう!」

そう言うと佐緒里さんも歩き始めた。私も後を追う。

「ねえ、志緒理さんって巧巳のこと好きでしょう?」

 突然の事に返答に困ってしまった。何だか意味深な質問。

「見ていると何となく分かるわよ。巧巳の方ばかり見ているし・・・。私もね、巧巳のこと好きよ!」

「えっ!」

 横を歩く佐緒里さんの横顔を見入ってしまう。

「私達従姉弟同士だからハッピーエンドの未来は無いかもしれないけど。・・・でもねもう10年以上も一緒にいるのに姉弟という感覚になれないのよね」

 なっ、何という爆弾発言!

「だからね、志緒理さんが少し羨ましいの」

 

 


最初から読む       「嗤う鬼火」14に続く



では後ほど!






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