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幼馴染は婚約者 「写真部怪奇事件」     第三章 「少し近づき過ぎていませんか」 5

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今までのイラストや小説をHPにまとめました。是非こちらにもお越しください

 
幼馴染は婚約者 「写真部怪奇事件」    第一章 「撮影会を始めます」

                           第二章 「怪現象が起こりました」


                         第三章 「少し近づき過ぎていませんか」



第三章 「少し近づき過ぎていませんか」 5



 その後写真部のみんなに連絡を取り、由貴と悟志は午後七時に早川宅に合流することになったが、早苗は用事があるらしく今回は不参加となった。

 その話をまとめた二時間後、三人は三村宅の前にいた。

「ここみたいだな」

 圭介はそう言いながらインターフォンのボタンを押すと、インターフォンから小さなチャイム音が流れた。

『はい。どちら様でしょうか?』

 少し警戒感のある女性の声が返ってきた。圭介はインターフォンに顔を近づけ、

「すみません。中山と申しますが、こちら三村美由紀さんのお宅でしょうか?」

『はいそうですが、御用件は?』

 さらに警戒感を深めたようで、疑心的なイントネーションで答える。

「十五年間、早沖高校で起こった事故の事でお話伺いたいのですが……。余り話をしたくない内容だとは思いますが、僕の友人に起こっている奇妙なことと何かしら関係がありそうなのでご協力お願いします。」

「はあ」

 乗り気のない返事が小さく響く。

「もしかしたら、美由紀さんが目覚めないのは医学的理由だけではなく、他の理由が考えられるかもしれません」

 圭介のその言葉に、

「すみませんが、もう一度お名前を……」

 僅かばかり前向きな感情を含む言葉が返ってきた。

「早沖高校の中山圭介と言います」

 “ハッ”とするような息使いがインターフォン越しに感じ取られる。

「もしかしてあの中山圭介さんですか?」

「“あの”というのはどういう“あの”のことか判りませんが、中山圭介と言います。どこかでお会いしたことがありましたか?」

「いえ、失礼しました。有名な天才、中山圭介さんのことは存じ上げています。少々お待ちください」

 圭介の名前はこのような一般家庭にも浸透しているようだ。数々の新聞や雑誌、そしてテレビで取り上げられているので、知る人は知っているのかもしれない。こんなところでこの名前が役立つとは思いもしなかった。

 しばらくすると、目の前に見えている玄関が“ガチャ”という音と共に開いた。少し開けて用心深く圭介の顔を見ていたが、自分の知っている顔と一致したのか、扉を大きく開けた。五十代半ばの少しやつれたように見える女性が顔を出し、

「初めまして三村です。中山さんのことはテレビや雑誌で拝見したことがあります。希有の天才であるとか。美由紀の身に何が起こっているというのですか?」

 微かな希望の光を瞳に宿しながら尋ねた。

「まだはっきりとしたことは判りませんが、美由紀さんに合わせて頂けませんか? 今僕達に起こっている出来事と美由紀さんとの関わりを確認したいと思っています」

 圭介の言葉に意を決したのか、躰を横にずらし玄関口を大きく開けると、圭介達を促した。

「どうぞお入りください」

 圭介達は八畳程のリビングに通された。昔ながらの作りになっていて、テレビを正面に向かい合わせのソファーが真ん中にあり、テレビと対峙して大きなサイドボードが置いてある、サードボードの中にはワインクラスや陶器の器が綺麗に装飾されていた。

 勧められるままソファーに腰を掛けると、美由紀の母と思われる女性は、一旦奥の部屋に行きしばらくしてコーヒーを持って帰ってきた。

「すみません、お構いなく。突然お邪魔したのはこちらですから気を遣わないでください」

 圭介は恐縮して頭を下げた。隣で真理恵と美穂も同様に頭を下げる。

「美由紀さんのお母さんですか? 美由紀さんにお会いすることはできますか?」

 早速とばかりに声を掛ける。

「美由紀の母です。美由紀は奥の部屋にいますが、お話をすることはできないと思います。十五年間眠り続けています。月に一度お医者様に診てもらっています、が呼吸もしていて脳も生きているそうで、眠っているのと同じ状態だそうです。今の医学では考えられない事象でどう対応していいのか判らないようです」

 美由紀の母は自分ではどうすることもできないジレンマを、誰かに話したいとばかりに言った。

「中山さんは先程、医学的だけではなく他の理由があるかもしれないと仰っていましたが何かあるのでしょうか?」

「まだはっきりとしたことは判りません。美由紀さんに会わせて頂ければ何か判るかもしれません」

 母親は少し考えていたが、

「分かりました。こちらへどうぞ」

 そう言って圭介達を奥の部屋に導いた。通された部屋の中に介護用のベッドに仰向けに眠っているように見える美由紀かいた。長い年数眠っていたせいか髪はかなり伸びている。それでも時折散髪をしているのだろう、綺麗に整えられていた。

 その顔を見た途端、美穂が、

「この人!」

「やはりそうか。もしかしたらと思っていたけど」

 圭介も同じ反応を示す。真理恵も同様の感覚を表情で表していた。正にあの写真に写っていた女性に瓜二つだ。美穂に至っては恐怖心を呼び起こされたのか圭介の陰にしがみつくように隠れる。

「あの、どうかされました?」

 母親が訝しげに三人に声を掛ける。

「あっ、いえ、すみません。ところで山本さんという人はご存知ですか?」

「はい、知っています。美由紀が高校生の時にお付き合いしていた方のようです、何度かお会いしたことがあります」

「その山本さんとは今は?」

「いえ、事故以来会ったことはありません。その方が何か?」

 圭介は右手の人差し指と中指を額に当て何かを思考していたが、

「もう少し時間をください。もしかしたら何か解決策が考え付くかもしれません」

 そう言って再び思考の途に就いた。

(十五年前の事件、美術室、写真の女性、山本洋二、そして早川美穂、これらの繋がりとそれを繋げるための新たなピース)

どの位経っただろう。圭介は顔を上げ母親の方に振り向くと、

「美由紀さんの事故の原因となった喧嘩ですが山本さんともう一人はどなたですか?」

「同じ山本さんという苗字です」

「そのもう一人の山本さんとも今はお付き合いがないのですね?」

「いえ、その方の家は近所でしたので、今でも挨拶程度ですが顔を合わせることがあります」

 再び圭介は思考の世界に舞い戻り今までのキーワードを脳内で整理した。圭介の頭の中で構築されているパズルはまだピースが少し足りていない。そのピースが見つかればパズルは完成する。

 今回はかなりの時間を思考に費やしていたようで、隣にいた美穂が、

「中……」

圭介に声を掛けようとしたところを真理恵に止められた。真理恵は幼馴染ということもあり圭介の性格をよく把握している。そして婚約者として圭介の思考を中断してはいけないということも熟知していた。しばらくの間、誰も圭介に声を掛けることが出来ず時間が過ぎていく。

圭介が動いた。

「あともう少しなんだけど、中々完成しない」

 沈黙の後の突然の発言に、何のことか周りの人達は分からないようだが、真理恵だけはその意味を理解していた。

 


第三章「少し近づき過ぎていませんか」 完


第四章「昔に何がありましたか」 へ続く

 


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幼馴染は婚約者 「写真部怪奇事件」    第一章 「撮影会を始めます」

                           
第二章 「怪現象が起こりました」


                         第三章 「少し近づき過ぎていませんか」


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