スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

幼馴染は婚約者 「写真部怪奇事件」     第四章 「昔に何がありましたか」 1

 何とか第四章に漕ぎつきました。最近「小説家になろう」に投稿したところ、約500人の方に読んで頂いていました。有り難うございます。厳しい意見でもいいので感想を頂けたらと思います。


PR
selfimproveロゴ
今までのイラストや小説をHPにまとめました。是非こちらにもお越しください

 

第四章 「昔に何がありましたか」 1

 三村宅を後にした三人は、美穂の自宅の近くある小さな喫茶店で軽めの昼食を摂取していた。小さいながらも小綺麗にした雰囲気の店で、あちこちに南米風の雑貨を見栄えよく配置している。余り日本では目にしない南米風のパスタを三人共注文して変わった味を堪能した。食後のコーヒーを注文し一息したところで、これからの予定を思案する。

ゴールデンウィーク期間も三日目で自由に動けるのも残り一日と半分を残すのみだ。出来ることならこの休みの間に今回の事象を解決したいと考えている圭介とは裏腹に美穂はもう少しこの時間を満喫したいと思っていた。

 確かに今自分の身に起こっていることは怖いと思う。でも圭介とこれほど親密に接する機会はそうはないだろうし、圭介のことをもっと知りたいと思う気持ちの方が今の美穂には強い。これを恋というのならきっとそうなのだろう。初めて感じる心の葛藤に心地よさと不安を感じ、自分が自分では無いような感覚にとらわれる。

 美穂の焦点の合っていないような視線が圭介に向けられていることに気付いた真理恵は、美穂の圭介に対する気持ちを、女性だから分かる女の感というのか、好意を抱いているということに確信を持った。これだけの美少女に好意を持たれることに対して男性は決して悪い気はしない、色恋沙汰に無頓着な圭介でも例外ではないだろう。

圭介のことを信じてはいるのだが多少の不安を抱えつつ美穂を睨むように見ていた真理恵の視線に先に気付いたのは圭介の方だった。

「長谷川君どうしたんだ?そんなに眉間にしわを寄せて」

 圭介の言葉に我に返った真理恵は、今度はきょとんとした圭介を睨む。

(人の気も知らないで)

「ねえ、これからどうするの?」

 美穂が舌足らずの甘えた声色で圭介に言った。一々美穂の態度や言葉が真理恵の気持ちを逆なでする。これが嫉妬というものだろうと頭では理解していても心は否定しているのだろう。何となく気持ちがもやもやとしていた。

「少し考えたいことがあるんだ。それともう一人の山本さんに会ってみようと思う。この近くだと思うから」

 先程美由紀の母に簡単な山本さん宅の地図を描いてもらっている。不躾だとは思うが、もう少し情報が欲しかった。

「余り面白い話になるとは思わないけど、君達も一緒に行く?」

「行くわ! でもどうして面白い話にならいの?」

圭介の問いに、美穂が問いかけで返す。真理恵には何となく話の内容が判るような気がしていた。三角関係の縺れからきている事故なのだ。色々な意味で憎愛の話になる可能性がある。余り聞きたい話ではない。

 しかし圭介と美穂を二人きりにするわけにはいかないので、気乗りはしなかったが一緒に行くことにする。

 そんな真理恵の雰囲気に気付いたのか、

「そうだ。長谷川君と早川君に少し調べてほしいことがあるんだ。山本さんの所には僕一人で行くから二人はこれについて調べて」

 そう言いながらズボンのポケットから一枚の紙を取り出しそれを美穂に渡した。その紙には転落事件の裏付けを取るために新聞等の記事の確認を取るというようなことが書かれている。そして真理恵には美穂がその文章に目を移している時に早川美穂と三村美由紀の共通点について調べるよう小声で耳打ちした。美穂と美由紀の共通点を確認するには客観的に細見できる第三者の方が適任と判断したからだ。美穂と美由紀の何らかの共通点があり、それによって怪現象が頻発していることは大いに有り得ることなので調べないわけにはいかない。本人にそれをやってもらうのも酷なことだし、それに第三者に自分のことを根掘り葉掘り精査されるのは気持ちの良いものではない。だから本人に分からないように調べるには一緒に行動し、さり気無くするしかない。本人と一緒に行動しその当事者に気付かれないように調べるのは困難を極めることかもしれないが真理恵は快諾した。敵を知り己を知ればということもあるのかもしれない。

「どこでこんな昔の事を調べればいいの?」

 美穂が手に持った紙を前に差し出すようにしていった。

「学校の近くにある県立図書館に行けば、過去数年の新聞記事がデータとして保存されていると思うからそこで調べるといいよ。じゃあ僕は山本さんに会ってくるから後は頼むよ。後で連絡するから」

 そう言って圭介は立ち上がると、伝票を持って会計に向かい会計を終えると、美穂と真理恵の方に向き軽く手を挙げて店を出た。店の前で一度立ち止まり先程三村宅で説明を受けた方向に歩き始めた。

「私達も行こうか」

 美穂が真理恵を促し店を出ると、圭介とは反対の方向に歩いた。しばらく無言で歩いていたが、

「ねえ、長谷川さんと中山君はどういう関係?」

 突然の質問に、

「えっ! ……別に学校の先輩と後輩というだけですが」

 「そんなわけないでしょう。今年入学してきてまだ一か月ちょっとで、ここまで一緒にいるのは変でしょう。ひょっとして中山君のことが好きなの? 一目惚れってやつ?」

 疑心を抱いているような視線を真理恵に向けて言った。

「いえ、実は私と中山先輩は幼馴染なんです。昔からよく一緒にいたんでその流れでというか……」

 この辺りはいずれ知られることなので正直に言っても大丈夫だろうと判断したようだ。

「そうなの! あなたと中山君幼馴染なんだ。じゃあ中山君の事よく知っているわね。彼の事教えてくれない」

 美穂はその場で立ち止まり、体ごと真理恵の方に向きを変えて、目を輝かせている。

「どうしてですか?」

 どんな返事が返ってくるかは、九割の確率で分かってはいたが、一応尋ねてみる。

「あなたにこんなことを言ってもしかたがないし、自分でも今一つ判らないけど、私中山君のことがひょっとして好きなのかなって思う時があるの。今まで色々な男の人に会ってきたけど中山君みたいな人は初めて」

 案に上の返答だった。真理恵の心にもやもやとした感情が湧いてきたが、何とか自制心を保ち何事もないように引き攣った笑いをしながら言葉を返す。

「そうなんですか? 中山先輩は……」

 そこまで言ったとき、美穂の表情が強張ってきたのを顕著に感じた。目を見開き化石化したように動きが止まる。真理恵は急激な美穂の変化に言葉を止め、

「どうしたんですか?」

 と、問いかけたが反応が返ってこない。

「早川先輩! ……早川先輩!」

 美穂はそんな真理恵の言葉を振り切るように、

「近くに来ないで! あなたどうして私の前に現れるの?」

「!」

「私があなたに何をしたというの?」

 手を前に突き出し何かを遮るような行動で叫ぶ。少し狂乱気味になっているようだ。

「早川先輩、どうしたんですか? 大丈夫ですか?」

「何を言っているの? なぜ私が……」

 真理恵も何事が起こったのか理解できないまま必死に美穂に声を掛ける。しかし美穂の行動は激しくなっていくばかりで収集がつかない。周りにいた人達も何事かと立ち止まるものもいた。そうしているうちに美穂の動きが急に止まりその場に座り込んでしまった。

「早川先輩、大丈夫ですか?」

 落ち着きを取り戻したと判断したのか、優しく問いかけた。美穂は大きく荒い呼吸を繰り返していたが、少しずつそれが落ち着いたものに変わってきた。



第四章「昔に何がありましたか」 1 完



前へ     最初から読む     次へ    



幼馴染は婚約者 「写真部怪奇事件」 

関連記事
スポンサーサイト
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

コメント

コメントの投稿

非公開コメント


(この一行は、各ページ下部に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
カレンダー
03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
にほんブログ村
にほんブログ村ランキングに参加しています。少しでも気に入っていただければ下記バナーをクリックしていただければ幸いです。
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

月別アーカイブ
サイドバー2下の追尾スペース
ここに追尾させたいものを記載します。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。