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Author:西崎 彦
それなりの年齢になりながらも創作活動にいそしんでいる。個人事業主です。気になる点等ありましたらお気軽にご連絡下さい。
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自作小説やオリジナルイラストの個人的嗜好ブログ。 たまに啓発文章も書いています。
午前六時、既に明るくなっている空は、雲一つない晴天から気持ちの良い光を注がせていた。
机でうつ伏せに蹲るように眠っていた圭介は、カーテンから漏れる明かりで目を覚ました。目を擦りながら躰を起こすと、大きく伸びをしてベッドで眠っている美穂に目を向ける。今は気持ちよく眠っているようだ。深夜の状態とは打って変わって安らかな寝息をたてている。若い女性の寝顔を見るものどうかと思い視線を放したとき、部屋のドアがノックと共に開いた。
「やっぱり、早川先輩ここにいたんだ! 目が覚めた時部屋にいなかったからひょっとしたらと思ったけど……。どうして圭ちゃんのベッドで寝てるの?」
一瞬躰を仰け反らせて、驚いたような顔をしていたが、
「おはよう、真理恵! そう目くじら立てないでこれから説明するから」
落ち着いた圭介の対応に、
「お、おはよう」
バツが悪そうに返事を返した。ゆっくりと圭介の方に近寄ると、圭介は椅子方立ち上がり真理恵に席を譲る。真理恵が座ると、その正面に立ち昨夜の出来事を話し始めた。美穂が圭介のベッドに寄り添うように入ってきたことは省き、少しばかり改ざんした内容で話す。
十五年前の美術室の事故に酷似した夢を見たこと、その時落下した女性が自分だったこと、その無残な姿を別の自分が見ていたということ、そして全身が震えていて意識が呆然としていたことなどを掻い摘んで話した。
「だから取り敢えずここに横になってもらっているというわけ。別に早川君と何があったというわけではないから心配しなくてもいいよ」
そう話を締め括ったが、真理恵にとっては納得できる話ではなかった。圭介を信じていないわけではないが、美穂の行動に警戒の念が沸き起こってしまう。
早くこの事件を解決して、圭介と美穂の距離を遠ざけなければと思っていた。今日がゴールデンウィーク最後の休みだ、出来ることなら今日中に何とかしたいと思う真理恵だった。
第五章 「これで解決ですか?」 3 完
「これで解決ですか?」4に続く
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