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「オカルト探偵俱楽部 」カテゴリ記事一覧


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『幽体離脱はお好きですか?』 2

 
 
オカルト探偵俱楽部2 

『幽体離脱はお好きですか?』



 

 その頃神崎洋平は学食でいつもの日替わり定食を食べていた。土井秀樹とは専攻科が違うため昼食を一緒にとることは滅多に無い。中山麻美や千葉美樹についても同様だ。しかし今日は珍しく四人揃っている。

「なあ!今度の日曜、って言うか明後日海にでも行かない?」

向かいに座っている秀樹が左手で器用に箸を使いながら言った。

「今年は特に猛暑日が続いているし、いいかもな!」

洋平が食事を終え箸を置きながら答える。

「千葉さんと麻美も行くだろう!何か予定が入っているなら仕方ないけど」

「私は良いけど。・・・美樹はどうする?」

「私も大丈夫」

 美樹はそう言い洋平の方を見て、洋平と視線が合うと、慌てて目を逸らした。

 そんな様子を見ていた秀樹が、

「千葉は見るからにプロポーションが良さそうだから、当然ビキニだよな」

 と、美樹の洋平に対する気持ちを知ってか知らずか茶化すように言った。美樹の顔が少し赤くなる。

「貧相な麻美と比べると格段の差がありそうだな」

 洋平のその一言に、

“キラーン!!”

 麻美の瞳が鈍く輝いたかと思うと、洋平の後頭部に衝撃が走った。

“バッコーン!!”

 周りの人が何事かと振り返って見るほどのすさまじい音が学食内に響き渡る。

「痛ってぇ~!何するんだよ?」

 後頭部を押さえながら隣にいる麻美を睨みつける。麻美の手には何故か丸い食器が持たれていた。

「私のナイスプロポーションも知らないくせに」

「知ってるさ。十年前まで一緒に風呂に入ってたからな」

「あのねえ。十年前っていいたら小学生でしょ。あの頃と今と同じにしないでよね」

「同じだろ!俺には違って見えないけどな?・・・それに普通自分でナイスプロポーションとか言うか?」

「うっ」

 麻美が反論できないでいると。追い討ちをかけるように。

「そうか!人には絶対言ってもらえないから、自分で言うしかないんだ」

 その言葉に麻美の瞳が真紅に燃えた。再び右手が天に向かって高く上がる。今度は何も持っていないようだ。そのまま振り下ろされるかと思いきや。ふと、麻美の視線が洋平を通り越して数メートル先にいる一人の女性に移った。

「あっ。白河さん」

 その声に三人の視線が一斉に麻美の視線を追った。麻美は振り上げた右腕を下げる際、洋平の頭をたたくふりをして小さな声で「バーカ。」と呟いた。

 彼等の視線の先にいる目標の人物である白河緑もその視線に気付いたようだ。少し恥ずかしそうに小さく会釈しながら近づいてきた。

「何だか久し振りね」

 真っ先に麻美が声をかける。

「はい。あの時はありがとうございました」

 白河は深々と頭を下げた。彼女は半年ほど前にある事件に巻き込まれて、心身共に大きなダメージを受け、しばらくカウンセリングを受けていたのだ。

 今の彼女を見る限り、あの時の後遺症はすっかり良くなっている様だ。

「そうだ。白河さんも一緒に、明後日海に行かない?」

「えっ!」

 洋平の突然の誘いに少し戸惑った様な声をあげたが、しばらく考えるような仕草をすると、小さく頷いた。

 

 





3へ続く




        
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『幽体離脱はお好きですか?』 1

 
 
オカルト探偵俱楽部2 

『幽体離脱はお好きですか?』



 

 

風間慎介は、夏休みの夏期講習を受けるために通学していた。ぎりぎりまで寝ていたため、まだ頭がボーッとしている。空ろな目をしながらゆっくりと歩いていると。不意に何かが前を横切った。大きなゴムボールだ。そのボールを目で追っていると、それを追うように少年が飛び出してきた。車の急ブレーキが響き渡る。

 「危ない!」

 車道に飛び出した少年を助けるため、咄嗟に走り出し、その少年を抱きかかえるようにして、再び歩道の方に戻ろうとした。しかし一瞬の差で車に接触し、歩道に投げ出され、地面に叩きつけられた。少年を抱きかかえたまま歩道を何度もバウンドし、街路樹に激突して止まった。周りにいた人達が一斉に駆け寄る。数人の人達が慎介と少年を取り囲んだ。

「一樹!」

 その少年の名前は一樹というのだろう。母親と思われる女性が人並みを割り込むように入ってきた。慎介は朦朧とした意識の中、少年を大事そうに抱きかかえている。少年は掠り傷で済んだようだ。慎介の腕の中から抜け出すように起き上がると、集まった人達をキョロキョロと見渡し、その中に母親を見つけたのだろう。一人の女性に走り寄って行った。

「ママ!」

 その女性は両手を大きく広げて少年を迎え入れ強く抱きしめた。少年といってもまだ四歳か五歳位だろうか?小さな腕を母親の身体に巻きつけるようにしがみついている。

 しばらくすると救急車がけたたましいサイレンを鳴らしてやってきた。野次馬が蜘蛛の子のように散らばる。タンカを押した救急隊員が慎介の脇にやってくると、手際よく対処しわずか数分で車内に運び込み、当事者の子供とその母親も乗り込む。

 しかしすぐには発進せず、中で無線の遣り取りをしていたかと思うと、再び耳障りなサイレンを鳴らしながら走り去っていった。

 警察が数分遅れてやってきたが、接触した車の姿がなくなっている。黒いセダンで全てのガラスを真っ黒にコーティングしてあり、中には数人乗っていたような気がする。一瞬停まって,そのまま逃げるように走り去って行ったようだ。何人かの人がその車を目撃していたが、プレートナンバーまで憶えているものはいなかった。警察も加害者がいないため、交通課から刑事課に状況を引き継ぎ、轢逃げ事件として捜査されることになった。

2へ続く




        
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次回予告!

 

 

以前の作品を加筆修正をして再度掲載していきます。

過去読まれた方も、初めて読まれる方も感想を頂ければと思います。

題も少し変えました。


 
オカルト探偵俱楽部2 

『幽体離脱はお好きですか?』



 

 登場人物

神埼洋平(かんざきようへい)  19才  本編の主人公。瞳が紺碧になった時、特殊な力が覚醒する。

中山麻美(なかやまあさみ)  20才  さっぱりとした性格、洋平とは腐れ縁。

土井秀樹(どいひでき)     20才  古武道に長けたひょうきん者、人と少しずれている。

千葉美紀(ちばみき)       20才  おとなしい性格だが芯の強い女性、洋平に思いを寄せている。            

白河 緑(しらかわみどり)     20才  後輩。

風間慎介(かざましんすけ)  15才  不幸にも幽体離脱してしまった少年。

 

事故に合い肉体と精神が分離してしまった少年。彼は自分の肉体に戻ることができるのだろうか?彼を助けてくれた人物とは?
 




次回スタートこうご期待!?        
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『真夜中の電話にはご注意を!』 4

おとなのホビー

オカルト探偵倶楽部表紙1 


『真夜中の電話にはご注意を!』
 
 

麻美はその場から動くことが出来ず、ただ洋平の瞳をじっと見つめている。

「目がどうした?」

「目が・・・。瞳が・・・。青い・・・」

 それだけ言うのが精一杯だった。洋平の瞳から目を逸らす事が出来ない。そう、なぜか洋平の瞳は全ての事を見透かしてしまうのではないかと思えるほど、澄んだ紺碧の瞳をしていた。雰囲気も少し変わっている様に見える。
 洋平は麻美越しに一点を見つめている。麻美もそれに気付いたのか、振り返って洋平の視線を辿った。そこには事務所がある。

「洋ちゃんどうしたの?」

 麻美が不安そうに聞くと、突如事務所の奥、先程から見つめている所に向かって歩き始めた。周りに居た者も紺碧の瞳に魂を吸い取られたかの様に身動きが出来ない様で、洋平が通り過ぎるのをただ見ているだけだった。
 洋平は血痕の付着したロッカーの前まで来ると、その場にしゃがみこんで血糊を確認し、立ち上がると、そのロッカーに向かって何かぶつぶつと呟き始めた。誰かと会話している様にも見える。辺りは静まり返っていて物音一つたてる者はいない。洋平は大きく深呼吸すると、振り返り店長に視線を向けると、

「どうしてこんなことをしたんですか?」

 店長はビクッとしたが、

「な、何のことだい」

「知らを切っても駄目ですよ」

 紺碧の瞳で見据えられた店長は呼吸さえ止まっているように微動だにしなくなった。

「今、白河さんと話しをしました。あなたは白河さんに暴行を加えようとしましたね。未遂に終わったようですが。・・・その際あなたは白河さんの抵抗にあい、手首を切ってしまった。その時の血がこれですね」

 残された血痕に視線を向ける。

「だから何を言ってるんだい。私は何も知らないよ。それにこれだけの出血があったら病院に搬送されているよ」

 薄ら笑いを浮かべながら、冷静さを保とうとしている様子が手に取るようにわかる。

「この血液の大半は人間の物ではないですね!他の動物の血を混ぜて血液から身元が割れないようにしたつもりでしょうが、そんな事をしても今の科捜研の技術では僅かな成分からでも個人を断定できますからね」

 店長の顔が僅かに引きつってきた。

「このカラオケ店の三階があなたの住まいですよね」

 洋平はそう言うと、階段に向かって歩き始めた。麻美が後を着ける様に追いかける。周りの者も自分の意思とは無関係に足が勝手に動き、蟻の行列の様に洋平の後を追った。
 三階の店長の部屋の前に来ると。

「麻美、白河さんの携帯番号知ってるだろ。ちょっとかけてみてくれ」

 麻美は“どうして?”と説明を求めることも出来ず、ポーチから携帯を取り出して白河緑の番号をコールした。部屋の中から小さなメロディ音が聞こえる。しかしそれを取る者はいなかった。

 麻美は耳から電話を離すと首を振った。

「大丈夫だ。白河さんは生きているから」

 そう言うと店長に向かって手の平を差し出した。店長が催眠術にでも掛かっているかの様に何の抵抗もなく部屋の鍵を差し出す。
 洋平は鍵を受け取ると、鍵穴に差込開錠した。ゆっくりとドアを開ける。中は薄暗く何も見えないが、奥の方から微かに人の気配を感じる。照明も点けず、土足のまま出部屋に入ると、まるで見えているかの様に、はっきりとした足取りで奥に進んだ。そして部屋の片隅にある今では貴重なジッパー式のクローゼットの前に立ち、おもむろにそのジッパーを開放した。

“ドサッ”

 中から女性らしき人物が転がり出てくる。その女性は下着だけの半裸状態で、クローゼットの奥にはその女性の物と思われる衣服が丸めて置かれていた。所々破れている箇所が見られる。
 洋平は上着を脱ぐと目の前の女性にそっとかけ、首筋に手を当て脈を確認する。そして麻美の方に振り返り小さく頷いた。
 麻美が近づき白河緑というのを確認する。そこから先は麻美の独断場だった。てきぱきと辺りにいる者に指示を出し、救急車や警察そして白河の両親に連絡をとる。
警察が到着した時には、全てが綺麗に収まっていて、ただ店長で白川綠の叔父である白河雅人の身柄を拘束しただけだった。




 

 

 翌日正午を過ぎた頃、洋平と麻美は白河緑の見舞いに行った。彼女は別段大きな外傷も無く大事には至らなかったようだ。思いのほか元気だった。軽く会話を交わし病室を出て廊下を歩いているとき、

「白河さんってお姉さんか妹がいる?」

「そう言えば、五年前に事故でなくなった二つ上のお姉さんがいたと思うけど」

「そうか。じゃああの電話は・・・」

 洋平は最後まで言わなかった。

「でもどうしてわかったの?」

 それは白河の姉のこと言っているのか、昨夜のことを言っているのか判らなかった。

「昨日どうしてあそこに白河さんがいるとわかったの?」

 麻美も洋平が何に対してのものか迷っていると思ったので今度は具体的に聞いてきた。

「あのカラオケ店に行ったのは偶然だと思うけど、昨夜の奇妙な携帯の番号表示と、その後の気味の悪い電話、それと店長の手首の包帯から発していた意味不明の感覚、後は叔父である店長が白河さんの行方不明を知らないはずがないし、そんなことを照らし合わせると頭の中で何かが一つに繋がって・・・。後は説明が難しいけど解ってしまったという感じかな」

 解ったような解らないような、釈然としない麻美は、

「それにあの時洋ちゃんの瞳・・・」

 途中で会話を止める。昨夜の洋平の身に起きた出来事が本当にそうだったのか確信が持てなかったのだ。しばらく二人は無言のまま廊下を歩いていると。

『ありがとう。』

 誰の声とも判らない、流れるような声が洋平の耳を心地よく通り抜けていった。足を止め振り返る。

「どうしたの?」

 麻美が急に立ち止まった洋平に言った。

「何でもない」

 空耳と思ったのか、再び前を向き歩き始める。その後で白河緑によく似た優しい顔をした女性が微笑みの眼差しで洋平の背中を見つめていた。

洋平も背中越しに優しい気配を感じて、気持ちも晴れやかに足取りも軽くなって来る。その時の洋平の瞳は日本人特有の漆黒の瞳をしていた。

 

 





 

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『真夜中の電話にはご注意を!』 3

最新!防犯機器特集

オカルト探偵倶楽部表紙1 


『真夜中の電話にはご注意を!』
 
 
 

 洋平と麻美がそんな他愛のない話をしていた時、行き付けのカラオケ店では一騒動が起きていた。店の奥にある従業員用のロッカーの一つから多量の血痕が発見されたのだ。そのロッカーはそれなりに大きな物で、小柄な人なら立ったままで入ることが出来る程だ。

血痕が発見されたのは数あるロッカーの中で丁度真ん中にあたるロッカーで、今は誰も使用していない。

 下の隙間から何か赤黒いものが染み出しているというので、中を開けてみると、多量の血痕があったという。その血痕はまだ凝固しておらず。それ程時間が経過した状態では無い様だった。警察に連絡しようか迷ったが、人の血かどうかも判らないし、誰かの悪戯かもしれない。取り敢えず従業員とアルバイトを集めて心当たりを確認することにした。お客もいるので半々に分かれて見聞することにする。

 全ての人から話を聞き終わった時には、午後十時を回っていた。たいした情報も得られず、悪戯にしても余りにも性質が悪いので警察に連絡することにする。

 正にその時洋平と麻美が店に訪れた。

「神崎君、中山さん」

 店長は二人に気付くと、少し硬い表情で声を掛けてくれた。行きつけの店だけあって、二人とも名前を覚えられている。

 洋平が不穏な空気を感じたのか、

「何かあったんですか?いつもと雰囲気が違うようですけど」

「いや。ちょっとね」

 視線を逸らし包帯を巻いた左手首を擦りながら答える店長は。少し挙動不審にも見える。

「店長、緑さんと最近会いました?」

「いいや!会ってないけどどうかしたの?」

「緑さん、今行方が分からなくなっているらしくて捜索願が出されているんです」

「捜索願?」

「それで仲間内で探しているんですけど、彼女ここによく来ているみたいだから、ひょっとしたら何か知っていかなと思って」

 店長は腕を組んで考えていたが、何も思いあたらないのかしきりに首を傾げている。その時洋平は店長の左手首の包帯に血がうっすらと滲んでいるのが見えた。

「その手どうしたんですか?」

 店長は我に返ると、左手を隠すように抱え込み。

「ちょっとキッチンの角に引っかけたときに切れてね・・・」

 

 深く追求せずに話題を変えようと思った時、奥のロッカーから染み出る血痕が目に入った。それを覗き込もうとカウンター越しに身体を乗り出そうとした時、」店長が洋平の肩を押し返した。

「何ですかあれ?」

「何でもないんだ、ちょっとした悪戯だよ」

 肩を押し返す動作で目の前に店長の左手首の包帯が視界に大きく入ってきた。その包帯に焦点が合った時、そこから何か得体のしれない感覚が伝わってきた。

脳裏に何か突き刺さる様な感覚が走る。洋平は後頭部を押さえてその場にうずくまった。

「どうしたの?」

 麻美が後から抱え込むように肩を支えた。

「頭が痛い・・・!」

 尚も苦しそうに頭を抱える。

「洋ちゃん・・・。洋ちゃん・・・。大丈夫?」

 洋平の突然の変調に麻美も冷静さを失っている。どうすることも出来ず洋平を後から抱き抱える様にしてじっとしていた。

 何秒、いや何分経っただろう。先程まで苦しそうにしていた洋平が何事も無かったかの様にすっと立ち上がった。抱き抱えるようにしがみついていた麻美も釣られる様に立ち上がる。

「洋ちゃん大丈夫?」

 心配そうな声で洋平の正面に回り、顔色を伺う。

「!!」

 その瞬間麻美の動きが止まった。

「どうかしたのか?」

 今までの苦痛が嘘の様にひき、逆に体全身から躍動感が漲っている。

「目が・・・」

 
 




4へ続く

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